LOCUS SOLUS

ロクス・ソルス (平凡社ライブラリー)

ロクス・ソルス (平凡社ライブラリー)

読書会に合わせて着手。

ブルトンが熱讃し、レリスが愛し、フーコーがその謎に魅せられた、言葉の錬金術師レーモン・ルーセル。言語遊戯に基づく独自の創作方法が生み出す驚異のイメージ群は、ひとの想像を超える。――パリ郊外はモンモランシー、天才科学者カントレルの奇想の発明品が並ぶ広大なロクス・ソルス荘へ、いざ――。

うう〜ん。


大枠になる物語はなく、カントレル博士の数々の珍妙な発明品を、博士自ら案内するツアーガイド、という体裁。


非常にビジュアル的なんだけど、その発明品のビジュアルが思い浮かばないというアンビバレンツ(笑)
編集前のツアーガイドの文字起こしのようで、あくまで発明品を前にして博士が解説していて、かつそれが非常に長いから、展示を観ながらでないと、「ごめん、今、なんの話だっけ?」という感じになる。


発明品それぞれが入れ子構造になって、そこにドラマが秘められている。
ほぼ例外なく、人間の最高の瞬間が装置で再現されていて、しかもその本人の遺体をパーツとして使用。しかし、そこにマッドさは薄く、なんだか妙に無機質。カントレル博士は、記憶の再現のみに興味があり、人間そのものには興味が無いような……


また、読書会で経験したのは、他人の感想を聞いているのが一番面白いということ。
これは、作中の発明品が人生を再現していることと同じく、この本が再生装置として機能している。ここで描かれていることも、もしかしたら、カントレル博士最後の発明によって、彼自身の輝かしい一日が再生されている様子なのかも。