SERPENT’S EGG

蛇の卵 (Seishinsha SF Series)

蛇の卵 (Seishinsha SF Series)

「蛇の卵」。それは本物の超級知性を持つ人間。そして世界の敵となる故に抹殺されなければならない存在。実験体として選ばれた超知性を持つ12人の人間と動物の子ども達、人間のロード・ランダル、歩行型人間模倣タイプコンピューター・イニアール、類人猿のアクセル、オスの子どもアシカ・マリノ、男児天使のルアス、人間の女児ヘンリエッタ、メスの子どもニシキヘビ・ルーティン、メスの子ども熊ダブ、オスの子どもチンパンジー・シンプ、まだ母親の胎にいるメスの子どもインド象ガジャ、オスの子どもクズリ・カルカジュー、オスの子どもオウム・ポップガイ。彼らの中で「蛇の卵」になるのは誰か? 衒学的重層構造の世界と万華鏡のような多彩なイメージが融合したラファティの集大成ともいえる傑作長編!

今までに読んだのは4冊の短篇集だけで、うち面白かったのは1.5冊という、ラファティ的には真面目な読者じゃないんだけど、ぶっちゃけ、これは合わなかったなぁ。


ラファティは短篇のイメージが極めて強いけど、長篇も結構訳されてるんだよね。それらと比べて、この作品の順位はどんなものなのか識者に伺ってみたい(笑)


ただ、途中で、読み方変えたら俺でも面白く読めるかも、と気づいたものの、もう一度読む元気もなく。
これから読む人のために、内容の感想と言うよりも雑感を(余計なお世話か)


筋のとった長篇だと思ったのが間違い。重層的にレイヤーを積み上げた結果が長篇の分量になっているにすぎない。しかもそのレイヤーもぴったり重なっているわけでなく、端っこと端っこが重なって、かなりはみ出ている感じ。一続きと考えず、一章一章その都度リセットして読めば、意外に楽しめたんじゃないかと反省。
また、いきなり出てきて、遡って最初からあるような顔をする「敵全滅銃」的な超兵器の存在をどう捉えるかでも、読書感はかなり変わると思う。それは、既知宇宙(世界)の崩壊を昔話的ナンセンスで片付けちゃう語り口と同じで、自分の常識が、突然足元で崩れる感覚が、ラファティの魅力だと思う。
今回はその魅力になかなかたどり着けませんでした……


これだけで判断するのもなんだけど、短篇の方が好みだなぁ。