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ソフロニア嬢、空賊の秘宝を探る (英国空中学園譚)

ソフロニア嬢、空賊の秘宝を探る (英国空中学園譚)

英国空中学園譚〈FINISHING SCHOOL〉シリーズ第一話。

吸血鬼や人狼らと人類が共存するヴィクトリア朝英国。おてんばなわれらが主人公ソフロニア・テミニック嬢は、上流階級の子女が集まる花嫁学校に入れられてしまうことに。ところがそこは、情報収集や毒物の使い方、異界族への対処などといった技術を教える、女スパイ養成所だった!? さらにソフロニアは、空盗賊がらみの謎解きにも巻きこまれるが――歴史情緒とユーモアにみちたスチームパンク冒険綺譚、新シリーズ開幕!

スター・ウォーズ新三部作状態だなぁ〜。
すなわち、クリエイターの技量が上がったがゆえに、前日譚の方が科学技術が発達してね? と言う問題。
アレクシアより25年ほど前の物語なのに、メイドロボはいるし、空中学園とか空賊とか、前作よりもスチームパンクガジェットが満載。
まぁ、読むと飛行船ではなく、まだ気球がメインみたいなんだけど、脳内ビジュアルはすっかり某ラピュタ


ただ、同じ一話でもこちらは作者最新作で、『アレクシア女史、倫敦で吸血鬼と戦う』*1と比べてキャラも物語運びも非常にこなれている。
学校ということで、自動的にキャラクターは多く、それぞれにちゃんと見せ場と個性があり、全く状況の分からないソフロニア自身が案内役兼推進力となって物語と舞台設定を見せていってくれる。
アレクシア以上に、世間体を気にしないソフロニアのドタバタはなかなか楽しい。
お約束のように、アイヴィの帽子ネタの如き天丼も仕込まれている。どんだけ、お辞儀が酷いの?
また、アケルダマほどではないにしろ、印象的な吸血鬼キャラを描くのが非常に巧い。


独立しているので、この作品単品でも楽しめるけど、アレクシアからの読者にとっては、あのキャラやこのキャラの若かりし姿が出てくるのが楽しい。
この分だと、幼児のアレクシアも出てきそうだなぁ。父親が特別講師とかで、一緒に。


四部作で、2巻は本国でも今年11月予定らしいので、完結が読めるのはまだまだ先。
未読の方は、その間にアレクシアを読んでおくのもいいかも。


表紙はズルいよな〜(笑)
それに騙されるとメイド味になっちゃうけど、俺は完全に『はいからさん』の紅緒に脳内補正完了!