ふがいない僕は空を見た



『ふがいない僕は空を見た』鑑賞
同名小説*1の映画化。


2013年一本目。
今年は、評判いい邦画は観ていこうかな、と。

赤い文化住宅の初子」「百万円と苦虫女」のタナダユキ監督が、「俺たちに明日はないッス」以来4年ぶりに長編作品のメガホンを取り、第24回山本周五郎賞に輝いた窪美澄の同名小説を映画化したドラマ。助産院を営む母に女手ひとつで育てられた高校生の卓巳は、友人に連れられて行ったイベントで、アニメ好きの主婦・里美と出会う。それ以来、卓巳と里美はアニメのコスプレをして情事を重ねるように。そんなある日、同級生の七菜から告白された卓巳は、里美と別れることを決心するが……。主演に永山絢斗田畑智子。脚本を「リンダリンダリンダ」「俺たちに明日はないッス」の向井康介が担当。

どうしても『桐島、部活やめるってよ*2と比べちゃうし、個人的には『桐島』の方が好きだけど、あちらを観たならこちらも是非オススメ。
『桐島』が敢えて校内だけの世界なのに対して、こちらは、もちろん学校の外にだって人生はあるし、そもそもそっちの方が長く重い、というスタンス。


ヲタ的には、やはりあんずの主眼において観ちゃう。
なんというか、荻上さんをこじらせた感じ(笑)
彼女が一番うまく描けたという、ムラマサ様の絶妙に微妙な感じが、もういたたまれない。
卓巳を即売会に連れてきた友人の感じとか、ああいう喋り方の人いるよね。俺もか!?
あと、コスプレは会場で着替えてくださいという注意がよく分かる。


性と生のリンク、明確な線引きのない大人と子供、キレイ事だけでない人生、どん底にありながら、かすかな光明のあるラスト。決して爽快ではない長めの作品なんだけど、最後までダレることがない。


ただ、『桐島』の可不足ないパズル的な面白さは薄いし、カットバックはあまり効果的でなく、どの時間軸なのかわかりにくい。また、長いにもかかわらず、まだ語り終わっていない感が強い。特に、主人公たち以外の七菜や田岡のことはもっと描いて欲しかったなぁ。


以下深読みというか、疑問というか、ちょっとネタバレ気味。


卓巳と里美の、リビングでの最後のセックスは、あれは隠し撮りされてるの、彼女は気づいてるんだよね?
で、卓巳はかわいそうだけど、画像がばら撒かれるのと引き換えに、離婚したということ? もしくは、自分からネット上にアップしたのか。


あと、終盤で出てくる虐待されてる団地の女の子は、田岡がわいせつ事件起こしてることを知ってる? 男の子と一緒に車に誘い込まれたか、それを目撃していて、だから、良太も仲間か、同じ人物だと思って「変態」と言い捨てる。
田岡が初めのほうで、お菓子(か何か)を子どもたちに店の前であげてるのは、そこにつながる。


なんでもかんでも、わかりやすく説明する最近の風潮に逆らった作りなので、語られていない部分を色々埋めるのが楽しい作品ではある。