1975年8月号
〈幻想と怪奇〉
・「ナツメグの味」……ジョン・コリア
新しく会社にやってきた男。
神経質そうで、人一倍控えめだが、やがて親しくなる。
実は、彼は親友を殺した容疑をかけられたが無罪になった男だった。
それはもう過ぎた話だと、付き合うのだが……
多数のアンソロジーに収録されているだけに、最後まで緊張感あふれた名作。
度を越したオタクと狂気は紙一重。
まさに、その場にいたら、ナツメグの味などわからなくなるような恐怖が味わえる。
『ナツメグの味』*1などに所収
・「悪魔に憑かれた女」……ジョン・コリア
突然、奇行を見せる少女。
悪魔に取り憑かれているらしいのだが……
『ナツメグの味』*2などに所収
・「ついに出た! 実説フランケンシュタイン」……ハリイ・ハリスン
見世物小屋にいるフランケンシュタインの怪物。
その正体に気づいた記者は、興行師を直撃するが……
今となっては驚きが薄くなってるけど、『トワイライトゾーン』的な嫌なオチで好みの小品。
『モンスター伝説』*3所収
・「さすらいのゴーレム」……エイヴラム・デイヴィッドスン
老夫婦の庭先に現れたゴーレム。
会話がスレ違い……
いくつものアンソロジーに入ってるし、何度か読んでるけど、面白さがまるでわからす。
これは、作中で爺さんがゴーレムと言ってるだけで、実は障害者を相手にしているだけ、とか?
『どんがらがん』*4などに所収
・「吸血機伝説」……ロジャー・ゼラズニイ
人類が滅亡し、ロボットが世界を支配した未来。
唯一、自由意志を持ち、他のロボットのエネルギーを吸う怪物ロボット。
彼の友人は、生き残ったが、栄養失調で墓から出れなくなっている本物の吸血鬼。
ある日、怪物ロボットは他のロボットに追い詰められ……
『影が行く』*5などに所収
・「悪魔株式会社」……シオドア・R・コグスウェル
悪魔に三つの願いと引換に魂を売りに来た男。
しかし、彼は最後の願いで、新しい三つの願いを契約してきた。
まさに、悪魔的に契約を順守し、ペテンにかける悪魔が印象的。
『天使と悪魔の物語』*6所収
・「悪魔は病んでいた」……ブルース・エリオット
新しい研究テーマが見つからなくなった未来。
機械に尋ねると、悪魔の実在は証明されておらず、それを研究することに。
降魔術を行うと……
・「八番目のスイッチ」……ロイ・ヴィカーズ
終電後に、存在しない地下鉄の音を聞く男。
彼と同棲している彼女には、ある秘密があり……
・「地図にない町」……フィリップ・K・ディック
地図にない町の切符を買おうとする男。
彼は駅員の目の前で消えるが、またやってくる。
気になった駅長が、その町のことを調べてみると……
自分以外の周囲が崩壊するというのは、ディック的といえばそうなんだけど、病的・ドラッグ的でなく、幻想みが強く、ある意味ハッピーエンドなのかな。
『地図にない町』*7所収