「ピンク色の三角」エレン・クレイジャス〈『群像2012年3月号』*1掲載〉

ゲイの恋人と仲違いしたまま、学会発表に出た主人公。歴史家の彼への仲直りのプレゼントとして、骨董屋で見つけたナチスのゲイ排斥のワッペンを買うが……

映画版『トワイライトゾーン*2の第一話を思い出した。
奇想的な部分は最後だけなんだけど、それが、主人公の負い目に見事に重なる。
それは、一夜の過ち、恋人との喧嘩、さらには自分が同性愛者というところにまで遡る。


「地下室の魔法」*3もビターなラストだったし、好きかどうかは別にして、印象的な作家。


「アリの巣」アリッサ・ナッティング〈『群像2012年6月号』*4掲載〉

全人類が、体に生物を共生させなければならなくなった未来。主人公の女性は、骨の中にアリを住ませることにする。しかし、餌をやっているにもかかわらず、アリが中から自分の骨を食べ始め……

まず舞台設定から気持ち悪く、主人公の思考が気持ち悪く、その結末も気持ち悪い、という気持ち悪さ三倍段。
この生理的嫌悪感は、女性作家ならではと言えるかなぁ。


「亡骸スモーカー」アリッサ・ナッティング〈『群像2012年6月号』*5掲載〉

防腐処理した遺体の髪を、煙草として吸うと、その人物の記憶が見えるという男。彼のことが好きな主人公は、自分の髪を吸ってもらうことにする。生きている人間の場合は、記憶がなくなってしまうのだろうか?

ヘンテコな話なんだけど、ラストは純愛。


群像の作品は、いずれ『変愛短篇集(3)』に入るでしょう。