PINOCCIO IN VENICE

老ピノッキオ、ヴェネツィアに帰る

老ピノッキオ、ヴェネツィアに帰る

二十世紀末のある冬の晩、一人の老人がヴェネツィアのサンタ・ルチア駅に降り立 つ。カルロ・コッローディの名作童話『ピノッキオの冒険』の主人公、ピノッキオである。彼は青い髪の妖精の言いつけを守り、いい子になった褒美として人間 の子になってから、禁欲的に学問の道を歩んできた。そして西洋文化と思想の研究で数々の業績を上げ、二度もノーベル賞を受賞し、百歳を超えて故郷ヴェネ ツィアに戻ってきたのである。旅の目的は、人生の締めくくりとして自分の人生を振り返り、特に妖精との関係を見つめ直して、自伝の最後の章を書き加えるこ と。ところが、ピノッキオは到着早々、『ピノッキオの冒険』にも登場する狐と猫に騙され、身ぐるみはがされてしまう……。

ピノッキオの冒険』*1の続編、という設定だけど、中身は完全にパロディ。しかし、昔は不死身の木偶人形だったからよかったものの、今では百歳を超えた老人のため、様々な仕打ちが身にしみるしみる(笑)
また、ディズニーの『ピノキオ』*2は、彼の自伝を元にして作られた映画という、クーヴァーらしいメタなネタ。


伸びたり縮んだりする鼻から誰も(?)が連想することから、青い髪の仙女との関係を再構築。ディズニーが描いていないそこに、何があったのか?
母と慕う仙女を追い求め、臓器の聖母の潜り込んで、ジュンとしちゃう(曲解してます)のは、宇能鴻一郎に通じるものがある。
確かに、『ピノッキオの冒険』は、ジェペット爺さんではなく、青い髪の仙女を求めることが推進力になってるんだよね。
唯一の女性キャラが、母性的な彼女だけというのも意味深。遡って、オリジナルの見え方も変わってくるかも。


かなり『ピノッキオの冒険』の道筋をなぞっているので、読んでおくことを推奨。