vol.3

ナイトランド 3号(秋2012)

ナイトランド 3号(秋2012)

アマゾンでも普通に買えるようになったのね。
出品者のコメントがちょっと面白い。そりゃ、新品だよね(笑)


【特集】異界への扉


・「夜の夢見の川」……カール・エドワード・ワグナー
川に落ちた護送車から逃げ出した女囚。
彼女は、婦人とメイドの二人暮らしの古びた屋敷にたどり着く。
二人は彼女を温かく世話するが……
幾つものレイヤーが重なって作品世界を構成している。
はたして、どのレイヤーがメインの次元なのか断定できない。
ゴシックのようであり、サイコのようであり、コズミックホラーのようでもある。
妄想とも、「黄衣の王」に触れた呪いとも読めるような、判然としないようなところが上手い。
『黄衣の王』*1の一篇として収められていても違和感のない作りは、作者の狙い通り。
ロバート・W・チェンバースより上手いけどね(笑)


・「ハワード・カーリックスの眼」……ティム・クーレン
光を凍らす実験をしていた博士。
その途中の事故により、彼の目はこの世ならざる光景が見えるようになってしまい……


・「死にたくない」……リチャード・マシスン
毎日毎日、死に怯えて暮らす男。
ジャムに毒が入ってるんじゃないか、駅のホームで突き落とされるんじゃないか……
これは、みんなも多かれ少なかれ、感じてるよね? 俺だけ!?


・「黒いモスリンの小さな穴」……サイモン・ストランザス
湖畔のコテージに遊びに来た5人の男女。
その内、一人が急にいなくなる。
探す中、また一人消え、周囲では風が強くなり始める……
日本初お目見え作家。
解説にもあるように、マコーマックに例えるのも納得だけど、不安による日常の崩壊の必然性が高めていく構成はまさしく古典的なホラー。
しかし、大ネタは、最近の奇想短篇のような、説明のない唐突さ。
でも、吸い込まれる感じは怖いんだよなぁ。


・「悪戯」「魔女の瓶」……シェーン・ジライヤ・カミングス
ショートショート2本。
イマイチなんだけど、日本での忍者修行で賜ったという作者のミドルネームは忘れられそうもない(笑)


・「死びと使い」……レイ・ブラッドベリ
追悼掲載。
これ、アンソロジーでしか読めないのか。


今までで一番クトゥルフ色が薄く、個人的には一番楽しめた。
「夜の夢見の川」と「黒いモスリンの小さな穴」は大当たり。


【連載コラム】
・「私の偏愛する三つの怪奇幻想小説」第3回
三津田信三氏。


・「Asian Horror Now」第3回
中華圏星雲賞について
以前SFMで特集された時に短篇読んだけど、正直、面白くなかったんだよなぁ。


「金色の蜂蜜酒を飲みながら」第3回
クトゥルフ神話とゲームの周辺


・「ファンタスティック・シネマ通信」第3回
アイアン・スカイ


・「NIGHT LIBRARY」第1回
ホラー&ダークファンタジー書評。
こういうコーナー欲しかったんだよね。


読者のお便りコーナーに、仁賀先生が!


次回は12月。
特集は「オカルト探偵」