HOW TO DITCH YOUR FAIRY

さよなら駐車妖精 (創元推理文庫)

さよなら駐車妖精 (創元推理文庫)

なんか、見覚えある名前だと思ったら、『あたしと魔女の扉』三部作*1の作者でした。

あたしはチャーリー、〈ニューアバロン・スポーツ高校〉に通ってる。あたしたちアバロナーズにはたいてい妖精がついてる。親友のロウシェルのは服のお買い物妖精だし、クラスメイトのフィオレンツェのなんか“男の子をとりこにする”妖精。それにひきかえ、あたしについてるのはいつでも駐車スペースをみつけられる妖精。みんな車に乗るときは一緒に乗せたがるけど、免許を持っていないあたしにはなんのいいこともない。こんな妖精どっかに行っちゃえばいいのに。アンドレノートン賞受賞作家が贈る、愉快でちょっと痛い青春ファンタジー

まず、表紙にあるようなかわいいけど、うざい妖精に悩まされる話、かと思ったら、妖精は目に見えないんだよね。じゃあ、表紙の子、誰? 主人公とはイメージ違うんだよなぁ。


思春期の心にゆらぎを、意のままにならない魔法に重ねて語られていくのは、『あたしと魔女の扉』と同様。自分の個性が、欠点としか見えないというのも青春もののお約束。駐車妖精は便利でいいと思うんだけどなぁ。
ただ、こちらは妖精がホントにいるのか、単なる偶然なのかは、なかなか判断できない。個人的には、最後までわからない方が、ティーンエージャー独特のコミュニティ感が強まった気もするんだけど。


でも、この作品で一番気にかかったのは、全体主義的というか、至上主義というか、すべてが主人公たちの学校を中心にして動いてるような世界。これが、少女たちの視野の狭さを表しているのか、本当にそうなのか、妖精の存在以上にわからない。個人的には、ビッグブラザーが学校経営しているようで、怖気が走ったんだけど、これは学校が嫌いだったからですか、そうですか。


設定の部分でモヤモヤしているように、物語も全体的に帯に短し襷に長し、という感じ。特にラストは「終わり?」と「都合良すぎね?」で、やはり欲求不満に。


すべてが、長期的なものの見方ができない若い主人公たちの思考を表現していると、好意的に見れなくもないけど、そうだとすると大人たちが余分なんだよなぁ。
主人公と同年代で読めば、共感できるのかも。