NINE HUNDRED GRANDMOTHERS

九百人のお祖母さん (ハヤカワ文庫SF)

九百人のお祖母さん (ハヤカワ文庫SF)

有名作家を、最近になってやっと訳された作品*1だけを読んで判断するな、と散々お叱りを受けている今日この頃。
そんなわけで、一番有名な短篇集を着手。

「この星では、誰も死なない!?」「そう、だからうちには九百人もお祖母さんがいるの」調査員セランがある星で耳にした奇想天外な話。もし本当なら、この星の先祖をたどることで宇宙の永遠の謎、万物の始まりを解明できる! かくて彼はある家に忍び込んだが……悪夢と笑いの表題作ほか、世界最高の科学者たちが奇妙な実験に右往左往する「その町の名は?」など、愛すべきホラ吹きおじさんラファティの抱腹絶倒の21の短篇。


 収録作品
・「九百人のお祖母さん」Nine Hundred Grandmothers
・「巨馬の国」Land of the Great Horses
・「日の当たるジニー」Ginny Wrapped in the Sun
・「時の六本指」The Six Fingers of Time
・「山上の蛙」Frog on the Mountain
・「一切衆生」Allthe People
・「カミロイ人の初等教育」Primary Education of the Camiroi
・「スロー・チューズデー・ナイト」Slow Tuesday Night
・「スナッフルズ」Snuffles
・「われらかくシャルルマーニュを悩ませり」Thus We Frustrate Charlemagne
・「蛇の名」Name of the Snake
・「せまい谷」Narrow Valley
・「カミロイ人の行政組織と慣習」Polityand Custom of the Camiroi
・「うちの町内」In Our Block
・「ブタっ腹のかあちゃんHog-Belly Honey
・「七日間の恐怖」Seven-Day Terror
・「町角の穴」The Hole on the Corner
・「その町の名は?」What's the Name of That Town?
・「他人の目」Through Other Eyes
・「一期一宴」One at a Time
・「千客万来」Guesting Time

ラファティ短篇の紹介で、よく「抱腹絶倒」が使われるけど、かなり怖くない?
この短篇集に限って言うと、主人公たちが全く理解できない何か(技術や異星人、現象)に遭遇する作品が多い。全く理解できないため、自分たちのアイデンティティや常識を守るために、なんとかそれを引き下ろそうとする。しかし、わからないものは何をやってもわからず、それは常識のみならず、彼らの既知世界さえも崩壊させかねない。
「九百人のお祖母さん」の宇宙がほどけていく感覚、「われらかくシャルルマーニュを悩ませり」や「その町の名は?」の遡ってリセットされる記憶、「うちの町内」の存在自体が引き起こす落ちるような錯覚、どれもコズミックホラーだと思うんだよね。
ただ、どの作品も、理解できない存在側が、どうにものんきだから、舌触りも味わいもおまんじゅうのようにほっこり(笑)でも、中身は名状しがたいものだと思うんだよなぁ。


言うの忘れてましたが、確かにみんな面白かったさ!(逆切れ)
お気入りは、「九百人のお祖母さん」「巨馬の国」「カミロイ人の初等教育」「われらかくシャルルマーニュを悩ませり」「うちの町内」「その町の名は?」あたり。