We Can Remember It for You Wholesale and Other Stories

映画に合わせて刊行された、日本オリジナル短篇集。

夜ごと火星に行く夢を見ていたクウェールは、念願の火星旅行を実現しようと、リコール社を訪れるが……。現実と非現実の境界を描いた映画化原作「トータル・リコール」、犯罪予知が可能になった未来を描いたサスペンス「マイノリティ・リポート」(スピルバーグ映画化原作)をはじめ、1953年発表の本邦初訳作「ミスター・スペースシップ」に、「非0」「フード・メーカー」の短篇集初収録作ほか、全10篇を収録した傑作選


 収録作品
・「トータル・リコール」We Can Remember It for You Wholesale
・「出口はどこかへの入口」The Exit Door Leads In
・「地球防衛軍」The Defenders
・「訪問者」Planet for Transients
・「世界をわが手に」The Trouble with Bubbles
・「ミスター・スペースシップ」Mr. Spaceship
・「非O」Null-O 
・「フード・メーカー」The Hood Maker
・「吊るされたよそ者」The Hanging Stranger
・「マイノリティ・リポート」The Minority Report

う〜ん。『アジャストメント』*1は楽しめたんだけど、今回は特に強く印象に残った作品がなかったなぁ。
「ディック」と聞いてイメージされるような、自分以外の何かがおかしい、という強迫をSF的解釈に落とし込んだ作品は「トータル・リコール」「フード・メーカー」「吊るされたよそ者」「マイノリティ・リポート」あたりで、残りは割と普通のSFかなぁ。


映画*2とはぜんぜん違うと散々聞いてきた「トータル・リコール」なんだけど、思いのほか、原型残ってるじゃん(笑)ただ、物語のあり方そのものはまるで違うし、原作のオチは好きだなぁ。映画も同じようにするか、更に転がして地球侵略ものにしちゃうとか。まとまりないって?(笑)


宇宙天才大学みたいなところに懸賞で当たったにもかかわらず、理詰めではあるのに、不条理感が漂う「出口はどこかへの入口」と、自分以外が異常であるがゆえ、異端者となってしまう「吊るされたよそ者」がお気に入り。
マイノリティ・リポート」の犯罪を予知され、それを犯す前に逮捕されてしまうという、人間の自由意志を無視した世界の恐怖感はなかなかいいんだけど、ストーリーが結構普通の陰謀ものなんだよなぁ。


「ラウタヴァーラの場合」の収録は次か?