Pa negre

『ブラック・ブレッド』鑑賞



子供が主人公で、スペイン内乱を舞台にしているとくれば、『パンズ・ラビリンス*1を思い出す。
しかし、両者は大きく異なっている。
こちらは、映像的にファンタジックな要素はまるでない。「ピトルリウア」という怪物や翼の生えた青年などに言及されるものの、そこに映し出されるのは過酷な現実のみ。
また、両作品とも「嘘」が大きなテーマになっているんだけど、その扱いが最も大きな相違点。これは幻想的な映像が出てこないことにもつながる。


パンズ・ラビリンス』が、子供がつらい現実から逃げるために幻想世界にシフトするのに対して、『ブラック・ブレッド』は大人たちが子供を現実から守るという名目で嘘をつき続ける。だが、それでは完全なる楽園を作り続けることは不可能で、逆に怪物を生み出してしまうことになる。
また、大人たちの嘘によって子供は傷つくんだけど、かといって真実も言えるわけがない。アンドレウの従姉妹ヌリアも早く大人になってしまう悲惨さ。


ラストの涙が非常に印象的。