1970年8月号

今月*1があまりにもアレな内容だったので、40年前にタイムトラベル。
もちろん〈幻想と怪奇〉特集号。



特集短編は9本。この頃は、掲載数が多いんだよなぁ。
また、今ではアンソロジーや短篇集に収められている作品も多い。まぁ、絶版になっちゃってるのも多いけど(笑)


・「弔花」……ロバート・ブロック
おばあちゃんと暮らす少年。
家の裏には墓地があり、いつもお客さんがやってくる。
しかし、福祉局によって二人は引き離され、20年が経った……
こんなファンタジックな話も書いてるのね。


・「メリイ・クリスマス」……L・P・ハートリイ
エレベーターの隅に人影が見えると言う少年。
父親はそれはサンタクロースだと教える。
そして、クリスマスの夜……


・「水槽」……カール・ジャコビ
家を借りた女性。
そこには巨大で、不気味な水槽があった。
以前の住人は貝類学者だったらしく、彼女は学者が残した記録にのめり込んでいく。
クトゥルー用語は出てこないんだけど、さすがアーカムハウス系列の作家だけに、非常にクトゥルー的な気配が強い作品。


・「マイヌーク」……ナイジェル・ニール
ある家族が引っ越してきた一軒家。
しかし、その直後から超常現象が起こり始める。
それはどんどん激しさを増し……
これ、もろに『ポルターガイスト*2と筋が一緒なんだけど、原型?


・「植民地」……フィリップ・K・ディック
なんの生物もいない惑星に、植民地化のためにやってきた調査隊。
しかし、そこには様々な道具や機械そっくりに化け、襲ってくる生物がいた!
ジョジョの女教皇の元ネタ?
本物と見分けがつかない、という部分だけだと、ディックらしいんだけど、いつもの自己を疑うという意味ではなく、直球で擬態怪獣の危機を表している。


・「独房ファンタジア」……ジャック・フィニイ
1週間後に死刑が決まっている男。
彼は最後に画材を要求した。
それで壁に本物にしか見えない扉を描き始める。
「今」「ここ」から逃れたい、というのはフィニィの特徴。
そんなに嫌か?とイライラする(笑)こともあるけど、この作品はなかなか好き。
現実逃避が希望につながっていて、かつそれが伝説化していくラストがいい。


・「子守唄」……チャールズ・ボーモント
赤ん坊をあやす老婆。
そこに、殺人を犯して逃げてきた息子が逃げてくる。
父に匿ってくれというが……
既読なんだけど、ボーモントはいいよね。


・「アムンゼンの天幕」……ジョン・マーティン・リーイ
南極点を目指す探検隊。
そこにノルウェーのテントを発見する。
妙に膨らんでおり、中を覗くが……
ウィアード・テールズに載った作品だからのか、かなり直球にコズミックホラー。


・「父子像」…… 都筑道夫
ある日、幼い娘が自分と同じ行動をしていることに気づいた男。
彼女が知らないはずの出来事もコピーしている。
愛人がいることに気づいた妻のあてつけか?