2012年8月号

今月は、『〈幻想と怪奇〉ゾンビって何?』


楽しみにしていただけに、憤るほどの期待はずれ。
期待はずれは以前にもあったけど、21世紀のゾンビブームについて特集してくれると思ってたのに、何これ?


「ゾンビ世界分布図」も今更な感はあるものの、紀元をどこに引くのかは知らないけど、明らかに以前とは違う21世紀のゾンビものを受けての、生ける屍の原点研究であるはずなのに、その現在形の解説がないって。


巻頭には挙げられているのに、ガイドもないんだよなぁ。小説、マンガ、映画、ゲーム、と現在のゾンビものは沢山あるはずなのに。小説に限ったって、『WORLD WAR Z*1、『高慢と偏見とゾンビ*2、『ぼくのゾンビ・ライフ』*3、『憎鬼』*4……と最近の作品だけでもいくつも並べられるし、それこそ、『ボーンシェイカー』*5も紹介すればいいじゃない。国内小説もあるはずでしょ?


特集短篇は、ダーレス、ブロック、シルヴァーバーグって、何十年前の8月号だよ! しかも、うち二本は既訳あり。内容も、古いだけならまだしも、現在ゾンビと聞いて、連想されるような作品ではないんだよなぁ。以前載った「100パーセント・ビーフのパティをダブルで」*6はアタリだったのに。既訳なら「シーオーク」*7の方が、多様化した現在のゾンビものとして価値があると思うんだけど。


敢えて懐古、を狙ったのなら、それはまるで読み取れなかったので申し訳ないですが。


一方で、特集外の翻訳短篇は楽しめた。
特にロバート・トゥーイ*8の「自由へのパスポート」は嬉しい。
あと、グラント・アレンの「チロルの城」はシリーズもの? 毎度大佐に騙されるパターンなのかしら。