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アルフハイムのゲーム―特務探査官リーラ・ブラック (ハヤカワ文庫SF)

アルフハイムのゲーム―特務探査官リーラ・ブラック (ハヤカワ文庫SF)

特務探査官リーラ・ブラック・シリーズの第1作。

2015年、超伝導粒子爆発が世界を変えた。その事故現場に出現した巨大な時空の穴が、五つの異界に通じていることが判明したからだ。元素精霊の支配する〈野生界〉、魔法を操るエルフたちの〈高妖精界〉、魔物が閥歩する〈魔世界〉、探査不能の〈死世界〉、そしてフェアリーが暮らす〈小妖精界〉の五世界だ。国家安全保障局の特務探査官リーラ・ブラックは、異世界とのかかわりで発生した難事件を解決すべく、奮闘するが……!?

並行世界と連結された地球で、そこでの問題解決のための捜査官と聞いて、『TOP10』*1みたいだな、と思ったんだけど、連想するのも失礼でした。
個人的にはハズレ。


出てくる異世界が完全にファンタジー系オンリーなのが、もうつまらない。それこそ『TOP10』みたいに、機械人類とか恐竜人類みたいなSF寄りの世界があっても良かったんじゃないかなぁ。というか、エルフとエレメンタルとフェアリーの世界はまとめても差し障りはないような気がするんだけど。
また、原著は2006年だけど、iPodも出てくるから、物語内も現代と考えても構わないと思う。それにしては、サイボーグ技術が凄いんだよなぁ。SFとしては、異世界との交流によって技術革新が起きたとして欲しいところ。
結局、この作品はファンタジーの部類なんだよね。


ファンタジーだから、当然魔法戦がメイン。
それに対するサイボーグの奮闘が見たいところだけど、この主人公がイマイチカッコよくない。『攻殻機動隊』とか『銃夢』みたいなしなやかなサイボーグをイメージしていたら、どうにも鈍重。しかも、彼女がパワーアップするのも魔法だしなぁ。
また、彼女が活躍してる印象が薄い。凄腕なのか、ドジっ子なのかもよくわからない。


で、SFだと思ったら、ファンタジーな展開で、実はパラロマ(笑)
こちらの世界と異世界にギャップがないため、どうにも退屈だったのが、途中から、三角(多角?)関係めいた展開になって、ちょっと個人的に盛り上がったんだけど、こちらもそれほど膨らまず。
そもそも、リーラ×ザルがいつの間にかなんだよなぁ。ゲームも、作者の狙いなのかなんなのか、よくわからないし。


この「わからない」というのが悪い意味で特徴で、なんか読みにくい文章も手伝って、非常に読み進めるのに苦労した。


2巻が訳されても、これはスルーだなぁ。