JOURNAL DE JEANNE

『タブー ジャンヌの日記』マリオ・メルシュ〈二見書房〉



あらすじだけを書くなら、「逆恨みで男爵夫妻に誘拐された友人を救うために屋敷に忍び込んだジャンヌ。しかし、逆に囚われてしまい……」という単純なもの。


帯(実は帯じゃないんだけど)に最先端ポルノとあるけど、う〜ん、アンモラルをそう捉えるなら、確かにポルノかなぁ。
性的拷問を加えられていくうちに、その対象を愛してしまうという展開は、まぁ、SMものらしい構造。しかも、主人公自体が、元々は性的倒錯のために相手を嗜虐する立場にあったことを読者は知っているから、彼女が痛めつけられるのを期待こそするものの、憐れむことはない。


しかし、それを肉付けしているものが、SF的かつ異様。
今ならバイオテクノロジーやナノテクと表現するようなガジェット。
それらで愛玩動物や器具を作るのかと思いきや、途中からエログロというか、グロにシフト(笑)改造された人間相手にカニバリズムを繰り広げる。
接着剤で固定したダンサーでサッカーとか、スカトロにも配慮した処刑便所とか、『家畜人ヤプー』かと思ったら友成純一に変わっていたかのような読書感。
更に、ラストは冷酷なまでのセカイ系


エロとしては実用性ゼロだけど(笑)、変な小説だったなぁ。