PHILO GUBB Correspondence School Detective

通信教育探偵ファイロ・ガッブ

通信教育探偵ファイロ・ガッブ

ホームズにあこがれ、〈日の出探偵事務所〉の探偵養成通信教育講座を受けて、立派な迷探偵になった、本業・壁紙張り職人ファイロ・ガッブ君の、ちょっとまぬけで愛すべき活躍を描いた短篇集、待望の初邦訳!


 収録作品
・「ゆでたまご」The Hard-Boiled Egg
・「ペット」The Pet
・「鷲の爪」The Eagle’s Claws
・「秘密の地下牢」The Oubliette
・「にせ泥棒」The Un-Burglars
・「二セント切手」The Two-Cent Stamp
・「にわとり」The Chicken
・「ドラゴンの目」The Dragon’s Eye
・「じわりじわりの殺人」The Progressive Murder
・「マスター氏の失踪」The Missing Mr. Master
・「ワッフルズマスタードWaffles and Mustard
・「名なしのにょろにょろ」The Anonymous Wiggle
・「千の半分」The Half of a Thousand
・「ティーツ社製、品番七四六二、ベッシー・ジョン」Dietz’s 7462 Bessie John
・「ヘンリー」Henry
・「埋められた骨」Buried Bones
・「ファイロ・ガッブ最大の事件」Philo Gubb's Greatest Case
・付録「針をくれ、ワトソン君!」The Needle, Watson !

『探偵術教えます』*1とか『フィデリティ・ダヴの大仕事』*2とテイストが似てるなぁ、と思ったら、訳者はそちらも訳されていました。ちなみに、前者はあとがきで言及。


ファイロ・ガッブ君はお人好しというか、むしろ間抜けで融通がきかない。
事件は連続爆破や海賊など、意外に深刻なものが少なくないけど、そんな彼が、運と偶然と勘違いだけでそれらを解決していくさまを描く。


物語のくすぐりは二つあって、ひとつは依頼される事件。もう一つが、ガッブが一目惚れした見世物小屋のでぶ女からの電信。この電信に絡むやり取りが毎回繰り返され、シリーズとしての連続性を保ち、彼の間抜けぶりを補強している。
他愛ないと言えばそれまでなんだけど、こういうのどかな作品は嫌いじゃないなぁ。
面白いのは、本職である壁紙張りは意外に繁盛しているみたいなんだよね。探偵業にはあまり関係ないからなのか、語られないけど(笑)


このおおらかさが肌に合わない人は確実にいると思うんだけど、個人的には楽しく読めました。