EXILE’S HONOR

追放者の矜持 上 - ヴァルデマールの絆 (C・NOVELSファンタジア)

追放者の矜持 上 - ヴァルデマールの絆 (C・NOVELSファンタジア)

追放者の矜持 下 - ヴァルデマールの絆 (C・NOVELSファンタジア)

追放者の矜持 下 - ヴァルデマールの絆 (C・NOVELSファンタジア)

未来が見える〈悪魔の力〉を隠し、カース国で軍人として生きるアルベリッヒ。盗賊から辺境の村を守る際、その力を使ったことが発覚し、火刑に処せられる。危ういところを白馬に助けられるが、それは敵国ヴァルデマールの白い〈悪魔の獣〉カンターだった。故国への忠誠心を持ちながらも帰る場所のないアルベリッヒは、不本意ながら使者訓練生として滞在することになるが……
敵国ヴァルデマールで使者となったアルベリッヒ。故国カースを思う気持ちは変わらないが、ヴァルデマールに対しても忠誠心が芽生え戸惑う。国境地帯で続く両国の紛争は、傭兵国家テドレルを巻き込んだことで、長年の均衡状態が崩れた。劣勢となるヴァルデマール。最終決戦を目前に国王、王女が戦場に向かう。ついにアルベリッヒ自身も王女付きの護衛として戦場に赴く日がきた! 

今まで、鬼軍曹的脇役だったアルベリッヒが主人公。
時代的には、セレネイがまだ王女なんで、『女王の矢』*1よりもだいぶ前。


寡黙なイメージだったんだけど、結構喋るなぁ(笑)
ヴァルデマール語はまだ文法に慣れていないので、台詞が拙い、という表現が後半になってから目立つんで、これは最初の方からやってたほうが効果的だったんじゃないかなぁ。それとも、読んでて気づかなかっただけ?
「俺にはユーモアのセンスがない」が決め台詞になっているのは、結構好き。


故国カースへの思いは薄れないが、〈使者〉に選ばれたがゆえに敵国ヴァルデマールにも忠誠心が芽生え、そのダブルスタンダードに悩む、というのが一つの軸なんだけど、アルベリッヒがあまりに都合が良すぎるほどリアリストなんで、あまり悩んでいるように見えない。
彼が鬼のように厳しい教官である理由が、ダブルスタンダードになっても、矛盾ない信念によるものというのはよかったけど。


もう一つの大きな軸が、テドレル戦争。
毎回言ってるけど、ラッキーは戦場を描くのが正直うまくない。
が、しかし、今回は今までで一番スケール感が感じられた。戦争の大きさとしては、〈ヴァルデマールの風〉三部作*2でのハードーン戦の方が大戦争だと思うんだけど、確実に今回の方がいい。
おそらく、戦争の準備から描かれていることが大きい。農民などによって部隊が作られている様子で、いかに人員が多いかわかるし、彼らによって戦場が設定されることで、その広がりがイメージできる。
また、アルベリッヒがセレネイのそばに仕えているため、戦場を後方から見渡せるが故に、戦いが主人公視点ではなく、両陣営を大局的に見ることができて、今までで一番上手いかも。


カースつながりで、『太陽神の司祭』*3の続きを早めに出して欲しいなぁ。