SCHULD

罪悪

罪悪

『犯罪』*1に続いて、早くも第2弾!

ふるさと祭りの最中に突発する、ブラスバンドの男たちによる集団暴行事件。秘密結社イルミナティにかぶれる男子寄宿学校生らの、“生け贅”の生徒へのいじめが引き起こす悲劇。猟奇殺人をもくろむ男を襲う突然の不運。何不自由ない暮らしを送る主婦が続ける窃盗事件。麻薬密売容疑で逮捕された孤独な老人が隠す真犯人。――弁護士の「私」は、さまざまな罪のかたちを静かに語り出す。刑事事件専門の弁護士が、現実の事件に材を得て描きあげた十五の異様な物語。世界各国を驚嘆せしめた傑作『犯罪』の著者による、至高の連作短篇集!


 収録作品
・「ふるさと祭リ」
・「遺伝子」
・「イルミナティ
・「子どもたち」
・「解剖学」
・「間男」
・「アタッシュケース
・「欲求」
・「雪」
・「鍵」
・「寂しさ」
・「司法当局」
・「清算
・「家族」
・「秘密」

あまりに『犯罪』が印象が強かったため、その続編、しかも短篇という性質上、衝撃は薄いだろうなぁと危惧しながらの読書。
正直、半分位は「こんなもんだったっけ?」という感触。
しかし、面白い作品はやはりクオリティが高い。


内容的には前作同様で、正義や真相を追い求めるのではなく、あくまで依頼人を弁護するという形。そのため、不可解な事件が不可解なまま終わるものもあるし、黙秘戦術に非常に威力があるドイツの司法制度にもやもや。絶対条件として犯罪は行われているわけで、そこに義憤を覚える反面、結果に人間も捨てたもんじゃないな、と感じたり、運命の皮肉さを見たり。


お気に入りは、
・「子どもたち」
夫婦仲もよく、順風満帆の人生を送る男。
しかし、妻の教え子からいたずらされたと訴えられ……


・「解剖学」
女性を拉致し、生きたまま解剖を企む男。
彼女が家から出てきて、ついに決行しようとするが……


・「雪」
麻薬密売人に薬の置き場所として、自分の部屋を貸していた老人。
人生を諦め、別に逮捕されてもどうでもいい。
ある日、面会に見知らぬ女がやってきて……


・「司法当局」
犬をけしかけられたという訴えで逮捕された男。
しかし、彼は明らかに別人。
ところが、ドイツのお役所的システムで……


・「清算
夫からひどい暴力を受けている女性。
娘が10歳になったら、同じように手を出すと聞かされ、ついに殺害。
あまりの虐待の酷さに情状酌量できるが、謀殺ならばその余地は法律上ない。
果たして、結果は?


・「秘密」
自分はCIAなどに見張られているという男。
毎日のように陰謀論をつぶやき、ついに精神科に行くことを同意するが……
シーラッハ、逃げてー!