或るろくでなしの死
- 作者: 平山夢明
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2011/12/22
- メディア: 単行本
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・「或るはぐれ者の死」
人畜無害の浮浪者。
ある日、道路の真中に、ボロ布のように潰された子供の死体を見つける。
なんとかしようとするが、誰も信じてくれず……
・「或る嫌われ者の死」
電車に挟まれ、救出を待つ男。
だが、レスキュー隊はなかなか活動できない。
そこは激変した近未来で、日本人は絶滅間近だった……
・「或るごくつぶしの死」
田舎から出てきた幼馴染を性欲処理の道具だとしか見ていない予備校生。
妊娠し、堕ろすよう言うが、彼女はなかなか病院に行かない。
そのうち出産し、男は大学に受かる。
しばらくして、彼女の部屋に行くと……
・「或る愛情の死」
事故で長男を亡くした一家。
それ以降、母親は情緒不安定になり、家庭はおかしくなっていた。
長男はガンで余命半年だったのだが……
・「或るろくでなしの死」
現場を少女に見られた殺し屋。
彼女は、代わりにハムスターを買ってくれと要求。
しかし、しばらくかわいがったかと思うと、ハムスターを殺してしまう。
・「或る英雄の死」
ダメ人間だが、幼い時に彼に付けられ、今もつるんでいる男。
ある夜、近所のバアさんをからかいに行こうと誘われ……
・「或るからっぽの死」
自分を意識していない人間の姿が透明に見えてしまう男。
ある日、顔がはっきり見える少女と食堂で出会う。
彼女とホテルに行くが……
過剰な残酷性、汚泥のような暗黒面、狂気、それらグロテスクを客観的な窃視者として見せてくれるのが平山作品の味なんだけど、それと同じか、むしろそれ以上に重要なのが、キャラ小説ってこと。
特色とも言える人体破壊描写なんだけど、他の刺激と同じで慣れてきちゃう。
それを差別化するのが、コミック的な狂ったキャラクター。今までの作品でも、印象に残っているのは「Ωの聖餐」*1のデブ、「ミサイルマン」*2の二人組とかなんだよね。
本書では、「或るごくつぶしの死」の小海の湛えた壊れ方が際立っている。
内容的には「或るろくでなしの死」がベスト。『ダイナー』*3のアナザーストーリーと言っても通じる無国籍アクション世界。平山版『レオン』*4と言った趣。