ヒミズ

『ヒミズ』鑑賞


冷たい熱帯魚*1効果なのか、かなり混んでた。まぁ、俺もその口なんだけど。
原作覚えてないんだよなぁ。っていうか、読んでないかも……。他の作品も混ざってる……。


題名どおり、太陽を見上げるシーンは出てこない。
冒頭から、不穏と不安が漂っている。
その空気感が、まさに2012年現在を表してるんだよね。決して他人事ではなく、雰囲気を共有するからこそ引き込まれると同時に、そこから逃れたいと思わずにはいられない。
主人公の住田は希望も絶望もなく、貸舟屋で安穏と暮らしていく、というささやかな人生設計を持っている。
でも、周りを取り巻く状況がそれを許さず、恐ろしく難しい夢になってるんだよね。
311以降の空気を、住田が背負わされている。


一方、ストーカーちっくで、エキセントリックな茶沢さんは、しかし、その家庭環境を見れば、その行動の方がむしろ愛らしい。一人で生きていこうとする住田に対して、彼女は他人に係わることだけで生きていこうとする。
無論、どちらか一方で社会は成り立たず、その両者は呼吸のようなもの。


彼らが「立派な大人」になれるかどうかと、日本が立ち直れるかがリンクしている。
だからこそ、「がんばれ」


とは言うものの、映画としてはちょっと纏まりに欠けるかなぁ。
そこにつながりがない所が、現実的といえばそうなのかもしれないけど。


俳優では、窪塚洋介がよかったなぁ。
正直、彼のイメージは『ピンポン』と「飛んだ」ことしかなかったんだけど、こういう演技ができる人だったのね。
ちゃらいチンピラであると同時に、倫理観が狂った青年で、非常に印象的。
あとは、でんでんが前作同様、正論しか吐かない極道を演じる。