BLAMELESS
アレクシア女史、欧羅巴(ヨーロッパ)で騎士団と遭う (英国パラソル奇譚)
- 作者: ゲイル・キャリガー,sime,川野靖子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2011/12/07
- メディア: 文庫
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異界族と共存する19世紀の英国。人狼団の長マコン卿は、妊娠が発覚した妻アレクシアを放逐した。人狼に繁殖能力はないからだ。不貞行為の濡れ衣をかけられたアレクシアは、男装の発明家ルフォーと旅に出た。だがイタリアを目指す一行を吸血鬼が襲う! 一方、ロンドンではアケルダマ卿が姿を消し、マコン卿の副官ライオールが謎を追って奮闘していた――歴史情緒とユーモアで贅沢に飾られた懐古冒険スチームパンク第三弾
強烈なクリフハンガー(ラブロマ的に)で終わった前巻*1。
傷心旅行かと思いきや、ヴィクトリアン・ヒロインを過剰にしたか如き、すこぶるパワフル。
これまで、ヴィクトリアン・ロマンスの割には、主人公二人が破廉恥過ぎて辟易してたんだけど、3巻目にして、ようやくヴィクトリアン・ロマンスのパロディとして構成されている並行世界だと納得できた。
その上に立脚した、パラロマだから、すべてが過剰。ルフォーの誘いもあからさまだし、アレクシアも力強い女性という以上に、20世紀のウーマン・リブのような様相。
さて、その前提が納得できたところで物語。
冒険活劇にはなってるけど、やはりスチームパンク感は薄いなぁ。その世界の住人ならば、いちいちガジェットの驚くはずもないから、かえって流し方は自然なのかも知れないけど、読者としてはそこに過剰さを求めるんだけどね。
キャラ小説としては完成していて、おなじみの面々が期待通り、時には意外な面を見せながら展開していく。
主人公夫妻は、あんだけ煽っておきながら、ツンデレならぬデレデレですよ。
一方、今まで裏方だったライオールが大活躍、特にフルーテの真の姿もちらほら。アイヴィも帽子以外に印象的な姿を見せる。
アケルダマ卿は不在が故に、その存在感を見せつけ、かつ彼の身にも激変が。
父の謎が少しずつ明らかになりながら、子どもの謎が増えるという塩梅で、アレクシアの世界が広がっていく。
あと2冊、ちゃんと出して欲しいなぁ。