猫城記

猫城記 (1980年) (サンリオSF文庫)

猫城記 (1980年) (サンリオSF文庫)

サンリオの白い猫って、これでしょ? 

え!? 違うの!?

飛行機はバラバラになっていた。2人の塔乗員のうち1人は消えていた。事故の直前には計算上は火星の大気圏に突入していたはずだから、そこは疑いもな……一面に銀灰色の大平原、やがて鷹のような怪烏に襲われ、ついで猫の顔をした人間どもに捕えられるのだが……火星なのだろうか? ところが一向に手出しをする様子はない。実は監視人として雇われようとしていたのだ……そこでは厚くて金紅色の縁取りのある迷葉と呼ばれる植物が国食と定められており、大地主であり、将軍、詩人、政客でもある大蠍(タアシエ)が、その樹林を保護するため……というのが真相だった。兵糧になるばかりか、白昼夢を見て詩作ができるうえ、人々を忘惰にしてしまう迷葉を植えなければ有力者も勢力を失うというこの猫人国はまた途方もない不条理が支配する空虚と放縦が混然とした世界だったのだ。幽黙と諷刺で世界認識が螺旋状に深化していく現代中国SFの熟成を味わってください。

思ってたよりも楽しめたました。


物語の始まりこそは、ロケットが故障して火星に不時着というSFだけど、そこにセンス・オブ・ワンダーはない。だから、火星人(猫人)の登場にタメも、情景を楽しませる気もない。
ガリバーから、未知の島の風俗を抜いて、諷刺だけを残した感じ。


白い外国人がもたらした中毒性のある植物のせいで堕落した猫国、とあからさますぎて、もう一周して深読みすべきかと勘ぐってしまう(笑)
とまぁ、中国を諷刺しているのは説明せずとも明らかなんだけど、最初は中国を諷刺したSF(というかなんというか)だったのが、気づくと中国そのものの批判になってしまっていて、筆のスピードを制御出来なかった感じが面白い。その一方で、いちいち「中国はこの世の楽園」的な表現や纏足の美しさが白々しいのも愉快。
図書館革命は、この作品が元ネタ?(多分違う)


それにしても、序文で失敗作っていうのやめてくださいよ、老舎先生。