Man After Man: An Anthropology of the Future

マンアフターマン―未来の人類学

マンアフターマン―未来の人類学

題名どおり、その後の人類種の博物誌。


今から20年以上前、『新恐竜』*1アフターマン*2に、えらくハマった少年がいたですよ。
シリーズ3冊目『Man After Man』はいつ出るのか、楽しみにしてましたよ。
ついに発売! 当然買いましたよ。
でも、読まなかったんだよねぇ……


先日、某古書店で高価買取してたんで、思い出して着手。


架空動物図鑑である前2作とはだいぶ感触が違い、多少のストーリーがあり、巨視的なスパンながらも最初からラストまで流れがある。
当時読まなかったのは、前作より文字の比率が多いのが大きな理由だと思うんだけど、新生物たちが妖怪というかショッカーというか……(笑)
ドゥーガル・ディクソンの架空動物図鑑シリーズでよく見られるのが、スポットライトを当ててている種以外の生物を絶滅させて、バイアスを掛けるというシミュレーション。
今回はそれが顕著で、ホモ・サピエンス以外の動物がほとんど消え去り、さらに遺伝子改造も施されているため、文字通り不自然なことに(笑)まぁ、この不自然さは、人間をテーマにするからには狙ってるような気もするけど。


欧米の「人を継ぐもの」系のSFは、ホモ・サピエンスの子孫がその座に就いていること(物語の時点で)が多いような気がする。これは、キリスト教の影響が濃いのかなぁ、と思ってるんだけど、本書はホモ・サピエンスの子孫でありながら、ひじょうにドライ。
ヒトが、知能を抑えた新しいヒトを創りだすという時点で、かなり生理的嫌悪感があり、そうまでして人類を残す意味(価値)があるのかと考えてしまう。さらに、その種が数百万年という時の中で進化しつつも、顔と手は人間の痕跡を残しているため、最後まで不気味の谷をさまよってる気分。
人類滅亡SFはキライじゃないけど、こうやって動物として生き残っていく人類には、虚しさを感じる。


まぁ、唯一復刊してないのもむべなるかな(笑)