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ダールグレン(1) (未来の文学)

ダールグレン(1) (未来の文学)

ダールグレン(2) (未来の文学)

ダールグレン(2) (未来の文学)

未来の文学第三期開始!

都市ベローナに何が起きたのか――多くの人々が逃げ出し、廃墟となった世界を践雇する異形の集団。二つの月。永遠に続く夜と霧。毎日ランダムに変化する新聞の日付。そこに現れた青年は、自分の名前も街を訪れた目的も思い出せない。やがて〈キッド〉とよばれる彼は男女を問わず愛を交わし、詩を書きながら、迷宮都市をさまよいつづける……奔放なイマジネーションが織りなす架空の都市空間を舞台に、性と暴力の魅惑を鮮烈に謳い上げ、人種・ジェンダーのカテゴリーを侵犯していく強靭なフィクションの力。過剰にして凶暴な文体、緻密にして錯乱した構成、ジョイスに比すべき大胆な言語実験を駆使した、天才ディレイニーの代表作にしてアメリカSF最大の問題作。

う〜ん、なんか語るべき?
出るという予告、延期に次ぐ延期という経過、本当に出たという事実、それでイイんじゃない?


ネタバレとかそういう類の小説ではないけれど、気になる方は読了後に。


文章自体は平易なんだけど、内容がほとんど飲み込めず。ぶっちゃけ、さっぱりでした。
ところどころ、「あれ?」と思う描写が散りばめられているんだけど、そこからラストでカタルシスが得られると期待すると肩透かしを食らうことに。
いろいろな要素で描き込んでいるため、読み方もいろいろあると思う。
文字になった時点で、時間と空間、愛も、都市も、事件も、因果も、全てが同列であり、描写されていることが全て。小説的省略と思いきや、まさに描かれていないため、キャラクターにとってはそれは非在であり、記憶からも抜け落ちている。そこから何かを読み取ろうとする努力は早々に放棄。欠落はあくまで欠落。


また、時折出てくるSF的描写をどう読むか。
ベローナの街自体が、この世界から遊離していて、両者の動くスピードに差異がある。赤方偏移のごとく、視界は歪み、時間と空間と認識の観測結果も変化をきたす。遊離しながらも、ある種の環に囚われており、そこには繰り返しが。しかし、キッドではなく、街こそが主体で、次のキッドを迎えることになる。
……なんてことを、ひねくりながら、どうにか読了。
しんどかった〜


それにしても、毎度ラインナップはワクワクさせられる。今が一番楽しい(笑)

ジャック・ヴァンス『奇跡なす者たち』
ジョン・クロウリー『古代の遺物』
R・A・ラファティ『第四の館』
ハーラン・エリスン『愛なんてセックスの書き間違い』
ジーン・ウルフジーン・ウルフの記念日の本』
サミュエル・R・ディレイニー『ドリフトグラス』
伊藤典夫編『海の鎖』

まぁ、また首を長くして待ちますよ。