127 Hours

『127時間』鑑賞


基本的に、主人公のアップと岩肌しか出てこない映画。それでも退屈しないし、むしろ疲れる。


アメリカでは有名な話らしく(日本で言うなら植村直己あたり?)、冒頭から、水を印象づける場面が多く出てくる。出しっ放しの蛇口、がぶ飲みするゲータレード、真っ青な地下湖……。けれど、そこには「水を大切に」とうメッセージがあるわけではなく、普段の生活で誰もがやっちゃうことなんだよね。だからこそ、主人公が陥る苦境に感情移入しやすくなっている。
できるなら、何も飲み物用意せずに見ることをオススメ。見てるだけで喉乾いてくるから。


映画は、教訓や因果応報を描いているわけではなく、ただ彼に起きた127時間の出来事を映している。絶望、幻覚、思い出、体の異常、それらが全てラストの一点に収束されていく。製作者はラストばかりが注目されることを嫌がっているようだけど、まぁ、強烈ですよ。
オチは知ってはいたものの、音と顔のアップだけで表現されるのかと思いきや、なんというか、ギャ〜(楳図かずお画で)って感じ。近年見た映画の中では最高に痛い表現。これに比べれば『冷たい熱帯魚』はグロい映画。思い出しただけで、体の各所がキュ〜っとなる。あれ、気分悪くなる人が絶対にいるよなぁ。
そこにあるのは、希望を失わない、なんて甘いものではなく、生きることへの貪欲さ、強固な精神力と生命力。あんなこと、可能なのかなぁ。あれが自分に出来るかと問われれば、初めから谷には行かないと答えます。


アカデミー賞ノミネート作品だからって、気軽に行かないほうがいいです。


いつ本の雪崩に遭うかわからないから、古本者もメモ書いてけって話ですよ。