X-Men: First Class

『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』鑑賞
若き日のプロフェッサーXとマグニートーの出会い、そしてX-MEN第1世代を描いシリーズ前日譚。


特に楽しみにしてたわけではないんだけど、予想外に面白かった。シリーズ中で一番よくまとまってるんじゃないかなぁ。
もちろん他の作品を見ている方が楽しめるんだけど、これはこれで、単独で完結している(厳密にはそうとは言えないけど)。
ミュータントの開放という同じ夢を抱き、友情を育みながらも、生まれや理念、方法論が決定的に違うため袂を分かってしまうチャールズとエリック。普通の姿になりたいという思いと本来の能力を誇りたいという思いで揺れるミスティーク。優生学の怪物として、三次大戦を引き起こそうとするヘルファイアークラブ。
シリーズものにありがちな、予習を観客に強いることもなく、しかし、過剰な説明がなくとも彼らの行動原理が理解できるように作られているのが上手い。個人的には、みんなでコードネームを考えるシーンが好き。
特にエリックの造形はよくて、結果的には敵対してしまうけど、彼はけっして悪ではないし、友情も捨ててしまうことに説得力があるんだよね。一方で、チャールズも見た目が人間と変わらないミュータントだからこその博愛主義が、間接的にそれが理由となって、人と違う体になってしまう。また、短いながらも、若きミュータントの馬鹿騒ぎを入れることによって、彼が学園を創設する決意を補強しているのも巧み。
ただ、ちょっと詰め込み過ぎというか、駆け足気味という感想は否めない。「ファースト・ジェネレーション」で三部作という構想もあるみたいなんで、それならネタを分けても良かったような。


前日譚であるこの作品のクオリティがいい分、クロニクルの行き着く先が『ファイナル・ディシジョン』*1というのがしょぼいよなぁ。
ここで描かれた友情や因縁は閉じてないし、後のCUREで今作が踏まえられていない(後付オリジンとは言え)とか、今回の設定を活かして、もう一度作り直したほうがいいんじゃないかなぁ。『スパイダーマン』でさえ、やり直しちゃうくらいなんだから。


キャラクター、キャストは満足。
主人公ふたりは、年取ったら、パトリック・スチュワートイアン・マッケランになりそうな顔してるんだよね。特にチャールズの生え際の危なっかしさとか(笑)また、チャールズが半身不随になってしまうアレンジも文句はない。エリックの金属を操ってしまう能力も、今回が一番練られていた。
これまでの映画版では印象が薄かったミスティークがよく掘り下げられてる。原作にあるヴァンプさはないけど、少女時代の彼女は新鮮で成功していると思う。ビーストはだから青いのね。
バンシーはコミックの時から変な格好だと思ってたけで、実写になるとそれが際立つ(笑)
エマ・フロストは残念。もっと、いかにもブロンドセクシー美女な女優に演じてもらいたかったなぁ。
スタン・リーは見つけられず。出てたの?
もう一人のカメオキャラは、ひじょうにはっきりと分かりやすく登場。


三部作はイマイチだったからなぁ、と思ってる方にもオススメ。