CITY OF BONES
- 作者: カサンドラ・クレア,杉本詠美
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2011/04/29
- メディア: ペーパーバック
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父を亡くし、美人で心配性の母と暮らしていたクラリー。親友と訪れたクラブで、ひとりの少年が天使のように美しい三人連れに狩られるのを目撃した。その日を境に彼女の世界は一変する。この世界には人間以外の種族、地下世界の住人や妖魔が存在する。三人連れは、そんな妖魔を始末するシャドウハンターだという。ふつうの人間には見えない妖魔を、なぜクラリーは見ることができたのか? ハンターのひとり、金髪の少年ジュイスは、クラリーを彼らの師のもとに連れ去るが……。全米で大ブームを巻き起こした〈シャドウハンター・シリーズ〉開幕。
母が何者かにさらわれ、家には怖ろしい妖魔が。昨日まで父親がわりだと思っていた母の親友ルークには突き放され、頼れる者もない。シャドウハンターたちのもとに身を寄せたクラリーは、彼らが反逆者ヴァレンタインのせいで失われた、伝説の天賜の杯をとりもどそうとしていることを知る。驚いたことに、クラリーの母もかつてはハンターだったというのだ。杯のありかの鍵を握る母は、ヴァレンタインに連れ去られた。美しいハンターの少年ジュイスと幼なじみのサイモンのあいだで揺れるクラリー。息もつかせぬ迫力で迫る大型ファンタジーシリーズ。
美形の少年少女が、特に仰々しい儀式を行うこともなく普段着で超常存在と渡り合うっていうのは、読んでも、観てもいないものと例えるのも何ですが、『ハリー・ポッター』や『トワイライト』シリーズに近いのかな?
この手のYAものは読んだことがなかったんだけど「主人公達はティーンエイジャーで、自分は他人と違う(いい意味でも悪い意味でも)のではないかと悩み、ちょっと危ない場所に遊びに行ってみたり、大人が信用できず、親に反発しながら短い冒険でちょっと成長して、その愛のもとへ帰る」というよくある青春ものの要素をそのままファンタジーにスライドさせた構造なのね。だから、この世界ならではの物語を読んだという歯ごたえは薄い。
しかし、その分、キャラクターには感情移入しやすく、物語も追いやすいのかな? まぁ、ティーンエイジャーだったの大昔なので、子どもがやんちゃしているようにしか見えなかったのですが(笑)
とはいえ、けっしてつまらなくない。
次から次へと事件が起こり、ノンストップで物語は展開し、リーダビリティはすこぶるいい。
小柄で活発、減らず口の主人公クラリーの造形もよくて、単なる巻き込まれのヒロインにはなってない。お約束のロマンスも、二人の男の子のどちらを選ぶのか、そしてその顛末も定番と言え、それなりに牽引力を持っている。でも、まだ二転三転しそうだなぁ。
ただ、世界観にオリジナリティがあまりない上、そのファンタジー設定の印象が薄いのが、やはり気になる。主人公達やメインキャラはしっかりしてるのに、魔物とかの描写があまり面白くない。よかったのはサイレントブラザーズくらいかなぁ。また、クラリーの能力をもっと活用して欲しかったけど、それはまた後ほど?
そう、物語は全く終わっていないのが最大の難。
完全に「2巻に続く」で終わるため、カタルシスはない。せめて、ある程度の幕は下ろして欲しかった。
表紙で、トゥルー・ブラッド*1と混同していたのは内緒。