GRIMSPACE

グリムスペース (ハヤカワ文庫SF)

グリムスペース (ハヤカワ文庫SF)

なんか嫌な予感がしていたんだけど着手。

異空間グリムスペースを利用する超光速航法は、人類を旧地球から銀河の彼方へと進出させる原動力となった。だがグリムスペースを航行するには、特異なJ遺伝子を持つジャンパーが不可欠であり、彼らは巨大企業複合体が独占していた。不慮の着陸事故にあい、医療施設に監禁されていた第一級のジャンパー――シランサ・ジャックスは、マーチと名乗る謎の男に救出され、やがて銀河を揺るがす巨大な悪に立ち向かうことに……

う〜ん、悪寒的中。ロマンス色強い上に、シリーズものかぁ。


たとえ嫌っていても、パイロットとジャンパーが精神的につながってしまうと言う時点で、ロマンスは既成事実(笑)。「目と目で通じ合う」という故事成語があるように、相手の瞳の描写が入ったら、もう決定。
ラストは分かりきっているので、特にSF(パラノーマル)はラストまでの牽引力がジャンル設定に関わってくる。この作品は、残念ながらそれが弱い。
巨大企業の独占への抵抗なんだけど、その敵にインパクトがなく、主人公シランサを誘拐した一味の目的もイマイチぼやけているし、いろんな星を巡っていくと思いきや、どうもテンポが悪い。敵が迫っている危機感もないし。さらに、それぞれキャラクターのバックボーンも描こうとするから、ガジェットが多い割には薄く、ジャンパーの設定も、シランサならではの遺伝子もあまり意味をなさず、ラストの頃には散漫な印象しか残らず。
ただ、ラスト100ページくらいはそれなりに面白い。スペースオペラなのに、宇宙を飛び回らない方が面白いなんて……。特に、バウンティー・ハンターのヴェリスがカッコよすぎ。前半から出してくれればよかったのになぁ。彼のスピンオフなら次も読みます(笑)


『闇の船』*1といい、ロマンス方面の版権をまとめて買ったの?
SFMはそろそろパラロマ特集をするべきだと思う。