WHEN YOU REACH ME

きみに出会うとき

きみに出会うとき

『きみに出会うとき』レベッカ・ステッド〈東京創元社
児童書なんで、どうしようかと思ったんだけど、創元には『アーサー王ここに眠る』*1という大傑作があるので着手。

きょうママにハガキがとどいた。三年間応募しつづけて、ついに当選したんだ。うちのママが〈ピラミッドクイズ〉に出場する。“あなた”の予言のとおりだ。ミランダはママとふたり暮らし。ある事件以来、親友だったサルとはろくに口もきいてない。でも、新しい友だちだってできたし、昼休みのバイトだってはじめた。そんなミランダのもとに謎のメッセージがとどきはじめる。まるで未来を知っているかのような“あなた”からの不思議なメモ。“あなた”はだれ? どうしてわたしにこんなメッセージをよこすの? 少女の不思議な体験と成長を爽やかに描いた、ニューベリー賞受賞作。

タイムトラベルもののジュブナイル
さくさくっと読み終わっちゃうけど、不思議なメモと謎の人物が、思わず再読を促すように仕掛けられているのが楽しい。
「出発する前に到着している」というのはタイムトラベルSFとしては今さら説明もいらないほど当然のことだけど、普通の物理現象でないので、真剣に考えてみようとすれば脳が拒否反応を示す。そこに焦点を当てているのは、当たり前すぎて通り過ぎていたことで、意外に新鮮。
一方、キャラクターの掘り下げが浅いんで、行動にイマイチ納得が行かない気もするんだけど、主人公達と同年代が読めば感覚的にわかるのかなぁ(ニューベリー賞だし)。また、主人公がいい子過ぎて、ちょっと面白みが(笑)。それでも、サルの気持ちはわかるし、事件とは別の糸としてミランダたちのほんのちょっとの成長が紡がれていく様子は、物語の牽引力になっている。
それにしても、サンリオのレア作品、カマゾツ*2の名前をこんな所で目にするとは! 有名な作品なの?