2011年5月号

S-Fマガジン 2011年 05月号 [雑誌]

S-Fマガジン 2011年 05月号 [雑誌]

今月の特集は、チャールズ・ストロスコリイ・ドクトロウ


翻訳は4本。
・「無線人」 チャールズ・ストロスコリイ・ドクトロウ
ネットが違法となったアメリカ。
情報を得ようとする行為はテロとみなされる中、ロスコウは無線アクセスポイントをゲリラ的に提供し続けていた。
『リトル・ブラザー』*1にも通じる部分があり、ハッカー的思想と行動はドクトロウらしい。
『暗号化』*2や『ハッカーズ』*3に出てくるホイット・ディフィーやフィル・ジマーマンを連想してしまった。
ラストまでパラノイア的に疑っちゃったけど、情報の共有化を理想としているドクトロウにはバッドエンドは書けないのかな?


・「酔いどれマンモス」 チャールズ・ストロス
ストロスらしい馬鹿騒ぎなんだけど、まるではまらず。
執事が「この程度、苦境のうちに入りません」って言うのは、誰かの決め台詞?
最近の漫画でもお約束の、執事が最強ってやはりジーブスが元祖? それとももっと遡れるの?


・「エインダのゲーム」 コリイ・ドクトロウ
ちょっと太めの女の子、エインダはオンラインゲームにはまっていて、腕前も知られている。
ある日、相棒から、リアルマネーを稼げるミッションがあると聞かされ……
面白いんだけど、やはりSFっぽさは薄い。
ただ、30年前からすると、ここに描かれていることは完全にSFだよね。


・「ヒロシマをめざしてのそのそと(後篇)」……ジェイムズ・モロー
危機を脱しながらも、日本高官の前での演技は成功をおさめる。
しかし、広島に原爆が……
あまりにも馬鹿らしい作戦だけど、それ以上に馬鹿な結果を生み出す戦争。
無力感に襲わせる極秘作戦のメンバー、仲間を探し続けるレドサウルス、けっして表に出ないがキャラは印象に残るスーツアクター
重層的に積み重ねられたもの寂しさが印象的な中篇。


大森望の新SF観光局」は、電子書籍


堺三保アメリカン・ゴシップ」は、企画中なのに、全然進んでない映画。


「デッド・フューチャーReMix」は、お休み


「SF挿絵画家の系譜」は、野中昇。
まだ未紹介だったか。


「サイバーカルチャートレンド」は、お休み


「サはサイエンスのサ」は、知性ってなんだろうはお休みで、放射能の話。


「センス・オブ・リアリティ」は、
金子隆一は、寄生生物。先日発見されたゾンビアリ。
香山リカは、津波の映像


「乱視読者の小説千一夜」はアイリス・オーウェンス続き。


「僕がSFでマンガでアニメで、おたくと呼ばれた頃――記憶のなかの80年前後SFファンダム史」
長山靖生氏の読切評論前編。
この辺のことって、全く読んだりしてないんで、純粋に概説として楽しい。
オタク史は読んどくかなぁ。


「現代SF作家論シリーズ」
第4回は、島村山寝によるスタニワフ・レム論。


「MAGAZINE REVIEW」は〈アシモフ〉誌
"Names of Water"キジ・ジョンソン
"Frankenstein, "Frankenstein"ウィル・マッキントッシュ
"Plus or Minus"ジェイムス・パトリック・ケリー
"Two Thives"クリス・ベケット
が面白そうだった。


来月は、パオロ・バチガルピ特集