EMISSARIES FROM THE DEAD

シリンダー世界111 (ハヤカワ文庫SF)

シリンダー世界111 (ハヤカワ文庫SF)

『シリンダー世界111』アダム=トロイ・カストロ〈ハヤカワSF1800〉
「ワイオミング生まれの宇宙飛行士」*1の作者による長編

〈AIソース〉と呼ばれる人工知一性集合体が深宇宙に建造したシリンダー型ステーション”111”。直径千キロ、長さ十万キロにおよぶ巨大構造物で、殺人事件が発生した。この特異な世界に生息するウデワタリという生物を研究中の女性職員の一人が殺されたのだ! 事態を重く見たホモ・サップ連合外交団は、敏腕捜査官アンドレア・コートを派遣したが……奇怪な世界を舞台に美貌の女探偵の活躍を描く傑作ハードSFミステリ!

シンギュラリティものなんだけど、ちょっと変化球かな?
舞台設定は、巨大なシリンダー世界というSF。展開は、状況はAIが犯人だが、AIを敵にまわすわけにはいかない、というミステリ。しかし、大局的には神と悪魔のチェスゲームというファンタジー的読後感。
ミステリの文法なんで、登場人物が謎めいているのは当然なんだけど、主人公が一番不可解という造形が面白い。人間嫌いで取っ付きにくい彼女の心の闇と克服が物語の軸の一つで、それが事件そのものにダークファンタジー的に結びついている。SFミステリとしてはウデワタリの行動原理が面白かったかな。
また、シンギュラリティにお約束の超AIの目的もちょっと風変わりで、アンドレアのパートナーともども、今後が気になる。
続きもあるようなので、翻訳希望。それでなくともミリ以外なので歓迎(笑)