THE DEATH AND LIFE OF CHARLIE ST. CLOUD
- 作者: ベン・シャーウッド,尾之上 浩司
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2010/11/25
- メディア: 文庫
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同名映画の原作なんだけど、映画がノーチェックだったので、無論原作も同様。
誰からも愛されていた仲良しの兄弟のチャーリーとサム。チャーリーが15歳のある夜、2人は自動車事故に遭い、死地をさまようが、兄のチャーリーだけが生き返った。彼は亡くなった弟の魂を守るために、墓地の番人となる。それから13年後、毎日弟の幽霊と同じ時間、同じ場所でキャッチボールをしていた彼の前に、不思議な女性が現れて……。全米ベストセラーとなった傑作スピリチュアル・ファンタジー。映画原作。
注:パラノーマルで、ロマンスあるけど、パラロマではありません。
読んだ印象は『フィールド・オブ・ドリームス』*1。野球が大好きという国民性もあるのかもしれないけど、キャッチボールという行為が、あちら側とこちら側を繋ぐメタファーになっている。しかし、『フィールド・オブ・ドリームス』にとってグラウンドは一種の天国なんだけど、この作品では煉獄のような存在なんだよね。だから、死んだ弟との心温まる交流も、実は、お互いを縛り付けている残酷な鎖ということが分かってくる。
一方、もう一つ登場するスポーツがヨット。これは、チャーリーを墓地に縛り付けているのとは対照的に自由の象徴になっている。しかし、それと同時に、海=彼岸という古典的な世界観も示している。
様々な縛めがある中、一見、チャーリーが救われる作品に思えるけど、実は彼の選択が境界線上を漂う三人を救うことになる。
また、霊と話せる物語だから、ハートウォーミングな内容なのに最後までキャラクターの安否がスリリングに持続する(笑)
映画はどうなのかな?