THE DEATH AND LIFE OF CHARLIE ST. CLOUD

きみがくれた未来 (角川文庫)

きみがくれた未来 (角川文庫)

『きみがくれた未来』ベン・シャーウッド〈角川文庫シ28-1
同名映画の原作なんだけど、映画がノーチェックだったので、無論原作も同様。

誰からも愛されていた仲良しの兄弟のチャーリーとサム。チャーリーが15歳のある夜、2人は自動車事故に遭い、死地をさまようが、兄のチャーリーだけが生き返った。彼は亡くなった弟の魂を守るために、墓地の番人となる。それから13年後、毎日弟の幽霊と同じ時間、同じ場所でキャッチボールをしていた彼の前に、不思議な女性が現れて……。全米ベストセラーとなった傑作スピリチュアル・ファンタジー。映画原作。

注:パラノーマルで、ロマンスあるけど、パラロマではありません。


読んだ印象は『フィールド・オブ・ドリームス*1。野球が大好きという国民性もあるのかもしれないけど、キャッチボールという行為が、あちら側とこちら側を繋ぐメタファーになっている。しかし、『フィールド・オブ・ドリームス』にとってグラウンドは一種の天国なんだけど、この作品では煉獄のような存在なんだよね。だから、死んだ弟との心温まる交流も、実は、お互いを縛り付けている残酷な鎖ということが分かってくる。
一方、もう一つ登場するスポーツがヨット。これは、チャーリーを墓地に縛り付けているのとは対照的に自由の象徴になっている。しかし、それと同時に、海=彼岸という古典的な世界観も示している。
様々な縛めがある中、一見、チャーリーが救われる作品に思えるけど、実は彼の選択が境界線上を漂う三人を救うことになる。
また、霊と話せる物語だから、ハートウォーミングな内容なのに最後までキャラクターの安否がスリリングに持続する(笑)


映画はどうなのかな?