MAGIC’S PROMISE

『魔法の誓約』マーセデス・ラッキー創元推理文庫F577−14、15〉
〈最後の魔法使者〉第二部

最愛のタイレンデルを失って十年以上がたった。その間に隣国カースとの激しい戦いで、多くの〈使者〉が亡くなり・生き残ったヴァニエルは、孤独を埋めてくれる恋人ができるどころか、休む暇もないほどの忙しさで戦いにかり出されていた。そんな彼が、避け続けていた故郷フォルストリーチに里帰りすることになった。折り合いが悪かった父も少しずつだがヴァニエルを認め、頼りにするようになってきたのだ。どうやら境を接している小国リニアとベアーズがきな臭いことになっているらしい……。伝説の〈魔法使者〉の生涯を描いた、三部作第二弾。
真夜中にヴァニエルを襲った悪夢。〈共に歩むもの〉イファンデスに導かれるようにして駆けつけた先は、リニアの都だった。そこでヴァニエルが見たのは、半狂乱になった〈共に歩むもの〉と、追い詰められておびえるタイレンデルそっくりの少年の姿だった。少年を追い詰めているのはヴァルデマールの特使。少年がリニア王宮の人々を皆殺しにしたというのだ。〈共に歩むもの〉に選ばれた少年にそんなことができるのか? ヴァニエルは少年を保護したが、相手は心を閉ざしたまま。いったいなにがあったのか? 好評〈最後の魔法使者〉いよいよ佳境に。

カースとの戦争は続いているけど、焦点はあくまでヴァニエル個人に定められているので、年代記の多くの作品のように薄いことはないし、前作*1同様、魔法も派手に使ってくれる。また、ヴァルデマール年代記のサブテーマとも言えるペア(〈使徒〉と〈共に歩むもの〉、〈鷹の兄弟〉、〈生涯の絆〉……)はさらに、師弟や生と死など深みを増していると思う。
でも、ちょっとペース配分がイマイチかなぁ。ヴァニエルの疲労、避け続けていたフォルストリーチとの対面、シャヴリーヘの複雑な想い、リニアとベアーズの諍い、タシールの問題……とかなりエピソード満載。一つ一つがけっしてつまらなくない分、どうにもまとまりが悪い。特に、タシールはタイレンデルと瓜二つという設定はあまり必要性が感じられない。それでヴァニエルが動揺しても、物語の推進力になってないし。この内容だと、もう1冊分くらい欲しいかな。
まぁ、ジェルヴィスの鬼軍曹っぷりはなかなかいいんですが(笑)


MAGE WARS三部作あたりを中公から出して欲しいなぁ。