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寝台特急 黄色い矢 (群像社ライブラリー)

寝台特急 黄色い矢 (群像社ライブラリー)

寝台特急――黄色い矢』ヴィクトル・ペレーヴィン群像社ライブラリー 26P-7〉
『青い火影』の後半ではなく、わけあって日本版『青い火影』と言う体裁の短篇集。

 収録作品
・「幼年時代存在論
・「ニカ」
・「ターザン・ジャンプ」
・「水晶の世界」
・「ミドルゲーム」
・「天上界のタンバリン」
・「寝台特急 黄色い矢」

『眠れ』*1に比べると奇妙さは薄く、特に前半四作は普通小説に近い。
しかし、後ろ半分はペレーヴィンに期待するものが揃ってる。
彼の作品は、欧米のジャンルフィクションとも、非欧米のマジックリアリズムとも舌触りが違う。出てくる幻想はひじょうに人工的な味わいがするのに、決してそれが最新ではなく、型落ちした機械の匂いがする。
さらに、社会問題や批判がかなりストレートに表されている。ハルムスと同時に読める日本は幸せかも。
この世界を走る列車として描いた表題作や、シャーマンによって死人を蘇らせ、結婚を斡旋する「天上界のタンバリン」もよかったんだけど、個人的には「ミドルゲーム」がお気に入り。善と悪の戦いのメタファーとしてチェスを使うのはよくあることだけど、その系譜かと思わせつつ、かなり予想外の展開に。
また、前半四作も普通っぽいとは言え、やはり硬質な幻想に覆われている。