DVE LEGENDY

二つの伝説 (東欧の想像力)

二つの伝説 (東欧の想像力)

『二つの伝説』ヨゼフ・シュクヴォレツキー〈松籟社 東欧の想像力6〉

圧政下のチェコで歌いあげられた二つの伝説――「エメケの伝説」「バスサクソフォン」は、ナチスソ連も憎悪した音楽・ジャズにのせて、満ち満ちる閉塞感のなかで生がはかなくもきらめく一瞬をとらえる。ジャズに憑かれた作者の回顧エッセイ「レッド・ミュージック」併録

ジャズの素養がゼロなんで、残念ながら根っこの部分が楽しめなかった。
しかし、今でこそ美しい観光地となったチェコが、ちょっと前までは自由とは無縁の社会だったという事実。あえて言うけど、たかがジャズさえも禁じられていた恐怖。純粋に音楽を愛するという意味でも、監視からの自由の象徴としてもジャズが求められる。都条例も暗黒時代の始まりなのかなぁ、と50年前のかの国とダブらせて思ったり。
収録作品では「バスサクソフォン」がよかったかな。サイドショウという境界線上の住人と、禁じられた音楽であるジャズが奏でる幻想的な一夜の物語。