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アンランダン 上 ザナと傘飛び男の大冒険

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アンランダン 下 ディーバとさかさま銃の大逆襲

アンランダン 下 ディーバとさかさま銃の大逆襲

『アンランダン』チャイナ・ミエヴィル〈河出書房新社
ミエヴィルのYA向け作品。

ふたりの少女が迷い込んだのは、不思議なものたちが住む「もうひとつのロンドン」――。「ハリー・ポッター以降もっとも想像力あふれた」ファンタジーと絶賛された2007年度ローカス賞受賞作。
不思議なもうひとつの世界<裏ロンドン>をめぐる大冒険、いよいよ完結。異世界に紛れ込んでしまった少女は迫りくる脅威から仲間を救えるのか――。ローカス賞受賞の傑作ファンタジー

世界観やキャラこそは独特だけど、展開は作者の主張に反して普通のファンタジーで退屈だなぁ……と感じられたのは上巻の前半まで。
異世界に戻る後半からは最後まで一気読み。
『ペルディード・ストリート・ステーション』*1と同じく、ファンタジーのお約束を外しながらストーリーが進んでいく。主人公からして外しているんだけど、中でも予言書と七つの難題のショートカットが、お約束を外しのお約束(笑)で上手いなぁ。
とは言っても、YA向けだからファンタジー的大団円なので、後味は心配しなくても大丈夫。
舞台はゲイマンの『ネバーウェア』*2とひじょうにかぶるんだけど、キャラ造形の奇天烈さは『ペルディード・ストリート・ステーション』を凌ぐか? 個人的お気に入りは冒険家のヨリックと潜水服のムレル。
命を持ったガラクタたちと、悪役がスモッグというエコ臭に鼻白む人もいるかも知れないけど、ミエヴィルの創造した雑多な箱庭は純粋に楽しいですよ。