TAKE A THIEF

『盗人の報復』マーセデス・ラッキー中央公論社ら1-4〉
ヴァルデマールシリーズ最新作。

貧民街に生まれ、頼るべき伯父一家にさえも虐げられ過酷な日々を送る少年スキッフ。ひょんなことから地下に住むベイジー率いる盗賊団に入り、初めて心の拠り所を得るのだった。だが幸福は長く続かず、大事な仲間は陰謀に巻き込まれ殺されてしまう。絶望の底で復讐を誓うスキップの前に〈共に歩むもの〉が現れて――。学院史上初となる、逞しくしたたかな盗賊《使者》ここに誕生!

毎度言ってるけど、ラッキーは個人に焦点を当てた方が上手い。
今回はそれが、スキッフの幼年期の幸福と悲劇、そして使者に迎えられる様子に思う存分発揮されている。
同時に、これまで印象的な脇役だったアルベリッヒのキャラクターが紹介され、そして彼との交流が今までのシリーズでは見られなかった種類の絆で、ひじょうに魅力的な人物として描かれている。
また、これまで宮廷や学院、森を舞台にしたことが多かったけど、今回は貧民街の生活が生き生きと描写され、異世界ファンタジーとしては、(比較的)常人の目線でそこを見られるのは意外に珍しいかも。
それにしても、こんなに逞しく、いじましいスキッフが後に猫耳に……(笑)