VISIONS OF HEAT

冷たい瞳が燃えるとき (扶桑社ロマンス シ 27-2 〈サイ=チェンジング〉シリーズ)

冷たい瞳が燃えるとき (扶桑社ロマンス シ 27-2 〈サイ=チェンジング〉シリーズ)

『冷たい瞳が燃えるとき』ナリーニ・シン〈扶桑社ロマンス シ27-2〉
春のシン祭第1弾。
〈サイ=チェンジリング〉シリーズ2巻。

予知能力者のフェイスは絶大な能力を持ち、ビジネスの予知によって莫大な富を生み出していた。しかし、それゆえに隔離・監視下で暮らし、人と触れ合うことは皆無の生活。そんなある日、彼女は殺人のビジョンを見てしまう。サイの同族には相談できない。フェイスはサイ社会から離脱したサッシャを頼るため、チェンジリングの縄張りに踏み込むが、そこで出会ったのは、とりわけ野性に満ちたジャガーチェンジリング、ヴォーンだった……

野生そのものの男を縛り付けて、ソフトSMするのが女の願望?
それはさておき。
他人に触られただけで気絶してしまうような究極の箱入り娘という処女属性を、パラロマ設定で理屈の通った補強がしてあり、それが物語とロマンス両方に必要になっているストーリーテリングは上手い。男のエロマンガ脳的にはもっと堅いか、無知ゆえの好奇心の方が好みだけど(笑)フェイスがけっこう耳年増なんだよなぁ。
相変わらず、パラロマ設定はしっかり異世界ものとして構築されている。
ロマンス自体は前作*1の繰り返し(女サイ×男チェンジリング)だから新味はないんだけど、サイ内部のレジスタンス的存在や評議会の権謀術策、ネットマインド、サイ社会の病巣など、小出しにされる大河的設定で次巻への興味が持続される。
とは言え、また次も同じような組み合わせだったら飽きるよ、と思ってたらかなり毛色の違う主人公。女のチェンジリングも出して欲しいなぁ。
あと、ヒューマンの描写が皆無なのが不満。