THE LOST FLEET : RELENTLES

彷徨える艦隊〈5〉戦艦リレントレス (ハヤカワ文庫SF)

彷徨える艦隊〈5〉戦艦リレントレス (ハヤカワ文庫SF)

『彷徨える艦隊5 戦艦リレントレス』ジャック・キャンベル〈ハヤカワSF1740〉
ミリタリー・スペース・ソープオペラも5巻目。

ディラワ星系で必要な物資の強奪に成功したギアリー大佐ひきいるアライアンス艦隊は、陣容を整え、ヘラダオ星系へと向かった。目的は2000名におよぶ捕虜の奪還と、食料の確保。そこで待ち受ける敵艦隊を撃破できれば、味方艦隊が待つヴァランダル星系まで、あと二つの星系を残すのみ! 長きにわたる戦闘の日々もこれで終わりになると思われたまさにそのとき、艦隊内に潜む怖るべき敵の魔手がギアリーに忍び寄っていた……!?

L★O★V★E★ビッキー!!
途中から、そんな言葉が思い浮かんで困った(内容とあまり関係ありません)


さて、前半はいつも通りなんだけど、後半から物語が動く。
これまではギアリーのトリッキーな戦術に焦点が当てられていたけど、反乱分子が一掃され、故郷に近づくにつれ、さらに大局的視点に立った戦略へとシフトしていく。アライアンスを救うためと信じる一派からのクーデターの誘い、それとは逆に、あくまで政府の命令という形を取りながらも、自分の考え通りに戦争を終わらせようとすねギアリー。さらに、異星人の目論見を潰すためには、目先のシンディックとの戦いを超えた行動を取らねばならない。
ギアリーの司令官としての成長と、対異星人という物語の不可避な展開が並行しているため、そこに至る過程がスムースに感じられる。その分、今までに比べると、書き急いでいるような印象がなくなもないけどね。


毎度楽しみな女の戦いは今回はあまりなくて残念(笑)。その代わり、ギアリーとデシャーニが無言で帰郷後を想うシーンは、戦いの連続の中で引き立っている。表紙はデシャーニ?
終盤、異星人の攻撃を無効化するための作戦が行われるんだけど、政府が馬鹿で、ギアリーが本当に善良とは言え、軍が政府を無視し独断で動くことには、生理的にちょっと恐怖を感じた。ちゃんとリオーネによってフォローはされるけど。


政治的な戦い、最良の独裁者としての誘惑、シンディックとの最後の戦い、さらに異星人の正体、と今後も色々展開を期待しちゃうけど、ホントに次で終わるの?