LO SCIALLE ANDALUSO
- 作者: エルサ・モランテ,北代美和子
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2009/07/08
- メディア: 単行本
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モラヴィアの妻でもある、エルサ・モランテの短篇集。
収録作品
- 「灯火を盗んだ男」Il ladro dei lumi
- 「眼鏡の男」L’uomo dagli occhiali
- 「祖母」La nonna
- 「天使の通り」Via dell’ Angelo
- 「秘密の遊び」Il gioco segreto
- 「同級生」Il compagno
- 「アンドゥッロとエスポージト」Andurro e Esposito
- 「いとこのヴェナンツィオ」Il battesimo
- 「意気地のない男」Un uomo senza carattere
- 「シチリア人の兵隊」Il soldato siciliano
- 「ドンナ・アマーリア」Donna Amalia
- 「アンダルシアの肩かけ」Lo scialle andaluso
この目で見たものと、夢で見たもの、想像が等価である子どもたちを主題にした作品が多かったかな。それと後味が悪い作品も少なくない。
お気に入りは、
・「眼鏡の男」
曜日の記憶がおぼつかない男。
彼は、女学校から下校してくる生徒を待っていた。
しかし、話をしたかった生徒は死んだと聞かされる。
友人が彼女の家に行き、男の話をすると……
どこからどこまでが夢で、しかも誰のものなのかはっきりしない作品。
男も実在なのか、少女の性的な影かなのか。
・「祖母」
息子を溺愛する母。
しかし、彼が結婚したのを機に、行方をくらませてしまう。
双子が生まれ、しばらくして戻ってきた母。
子どもたちは彼女のお話に夢中になるが……
ラストの後味悪さは格別。
・「いとこのヴェナンツィオ」
ちょっと足りないヴェナンツィオ。
ある日、ぽっくり死んでしまう。
葬式に集まった子どもたちの態度がうまい。
大人から見れば的外れなんだけど、彼らの論理ではちゃんと通ってるんだよね。
・「意気地のない男」
休み中、田舎に帰った青年。
そこに、冴えない容姿の女性がいて、男たちは彼女に求愛する振りをして小馬鹿にしていた。
彼はそういう行為は嫌いだったが……
これも、ラストは嫌な気分になるなぁ。
上に書いた作品は比較的印象に残ってるんだけど、全体的には残念ながら、ちょっと趣味でなかったなぁ。
完全なる想像だけど、キリスト教(か他の倫理)を前提としたテンプレートに沿って書かれていて、それ自体に読み手が合わないと、話自体にイマイチ乗れない感じ。
読みにくいわけではないのに時間がかかり、実は内容もあまり残ってないんだよね。