医学と芸術

森美術館で開催中の「医学と芸術」展に行ってきた。
森美術館はターゲットを絞って、ツボを押さえた企画が多いので好き。比較的空いてるし。


「医学と芸術、科学と美を総合的なヴィジョンの中で捉え、人間の生と死の意味をもう一度問い直す」というコンセプトで、解剖図や器具、それをテーマにした絵画などの展示。
目玉は、レオナルド・ダ・ヴィンチのスケッチなのかな。
ちょうど先日読んだばかりのジョン・ハンター関係が見られたのが収穫。
18世紀以前の胎児図はへその緒で目が隠れてるんだけど、これは無垢を表してるのかしら? 首に引っ掛かって死んじゃいそうだけど。
「工場の工程にたとえた人体の生理的活動」のカラーリトグラフが超カッコ良くて、ポスターあったら買おうかと思ったのに、図録でも扱いが小さい。
象牙製の解剖模型は1個欲しいな。


美術品よりも、一昔前の手術道具や義手なんかの本物の展示の方が個人的には面白かった。眼科手術用具とか膀胱結石切除セットは、見てるだけでむずむずしてくる。100年前の電気療法機が凄い。電線張り巡らせた鳥かごという感じで、クララもあそこに入れられたらすぐに歩けるようなったよ(笑)痛風の治療にも使われていたらしく、1世紀前は精神科の範疇だったの?


スーパーヒーローたちの老後を描いたジル・バルビエの《老人ホーム》が収穫。ミスター・ファンタスティックもすっかり緩んじゃって。車椅子に乗ってるのは、ハルクよりもフラッシュの方がよかったと思うんだけどなぁ。
パトリシア・ピッチニーニも展示されていたんだけど、個人的にはこの辺を芸術と呼んじゃうのは、どうも抵抗がある。でかいフィギュアジャン(笑)作品としては好きなんだけど。現代芸術は提示した者勝ちな感じで好きになれない。


全体的に楽しめたので、ちょっと毛色が変わった美術展が見たいのならオススメ。