Sweet Little Hand and Other Stories

『やさしい小さな手』ローレンス・ブロック〈ハヤカワHM362-7〉
「現代短篇の名手たち」7冊目。

 収録作品

  • 「ほぼパーフェクト」Almost Perfect
  • 「怒れるトミー・ターヒューン」Terrible Tommy Terhune
  • 「ボールを打って、フレッドを引きずって」Hit the Ball, Drag Fred
  • 「ポイント」Points
  • 「どうってことはない」You Don’t Even Feel IT
  • 「三人まとめてサイドポケットに」Three in the Side Pocket
  • 「やりかけたことは」In for a Penny
  • 「情欲について話せば」Speaking of Lust
  • 「やさしい小さな手」Sweet Little Hands
  • 「ノックしないで」 It Took You Long Enough
  • 「ブッチャーとのデート」 A Date with the Butcher
  • 「レッツ・ゲット・ロスト」Let’s Get Lost
  • 「おかしな考えを抱くとき」A Moment of Wrong Thinking
  • 「夜と音楽と」 The Night and the Music

ブロックの短篇は以前読んで好みだったので、今回は特に構えず(笑)
普通に良くできた短篇集。その分、ぶっ飛んだのもないんだけど、しっかりオチのつくクライムものを期待して、安心して読める(クライムで安心ってのもなんだけど)。でも、『おかしなことを聞くね』*1ほど唸らなされかったかなぁ。
お気に入りは、
・「ほぼパーフェクト」
 いつも不安定なピッチャー。
 しかし、その日はどういう分けか調子が良く、気づけば完全試合に進みつつあった。
 そういう状況では、ある暗黙の了解があるのだが……
 収録作ではこれがベストかなぁ。
 完全試合達成の緊張感、事件の発覚がクライマックスに向けて収束して行く様が楽しめた。


・「どうってことはない」
 ベテランボクサー。
 妻はもう辞めて欲しいのだが、彼もトレイナーも耳を貸さない。
 そして、試合でついに……
 ラストが嫌な話。諦めた感じとか。


・「やりかけたことは」
 出所した男。
 仕事も見つけたが、その途中にある酒場には決して近寄らないようにしていた。
 しかし、ある日我慢できずに……
 オチは予想つくんだけど、その質が……


・「レッツ・ゲット・ロスト」
 エレインの客がポーカーで問題が起き、様子を見に行って欲しいと頼まれたスカダー。
 部屋に行くと、一人の男がナイフで刺されて死んでいた。
 見知らぬ男がやってきて刺したというのだが……
 小咄系としてもバズラーとしても面白かったかな。