СПИ
- 作者: ヴィクトルペレーヴィン,三浦清美
- 出版社/メーカー: 群像社
- 発売日: 1996/03
- メディア: 新書
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『恐怖の兜』*1のペレーヴィンの短篇集。
収録作品
- 「倉庫XII番の冒険と生涯」
- 「世捨て人と六本指」
- 「中部ロシアにおける人間狼の問題」
- 「ゴスプランの王子さま」
- 「眠れ」
- 「ネパール通信」
- 「ヴェーラ・パーヴロヴナの九番目の夢」
- 「青い火影」
- 「太守張のソ連」
- 「マルドングたち」
まず言っておかなければならないのは、文章なのか思想なのか、とにかく咀嚼しにくいです。一段落が長いのは、ロシアの特徴?
最近の異色短編が生々しいのに対して、ペレーヴィンは無機質で、四角い感触。
個人的に、ロシアのイメージは重苦しい・堅苦しい・息苦しい。これが、安易な印象などではなく、当地の人々もそれを窮屈に感じていることがわかる。しかし、それと同時に、ペレーヴィンは比較的若い作家だけど、それでも西欧的自由へ踏み出すことへのためらいやプレッシャー、独裁的・官僚的支配の恐怖に安定を見いだしているようにも思える。
お気に入りは、
・「世捨て人と六本指」
世界の構造について語る世捨て人と六本指。
彼らは、その世界から外に出ることを考えるが……
文字通り、自由への羽ばたきの物語。
・「ゴスプランの王子さま」
コンピューター・ゲームと一体化した役所。
書類を届けるにも、トラップや戦車がある。
はたして、ゲームをやっているのか、それとも誰かのゲームの中なのか?
わけのわからなさと異色的面白みが合致した作品としてはこれが一番か。
プリンス・オブ・ペルシャ好きは必読(笑)
・「ネパール通信」
あらすじが上手くまとめられないなぁ。
抜け出せない閉塞感が嫌な作品
・「ヴェーラ・パーヴロヴナの九番目の夢」
これも、あらすじが上手くまとめられない……
なんらかの答えが見えそうなんだけど、難しい……
・「青い火影」
林間学校で、夜、怪談を話す少年たち。
その中で生と死の違いについて語る。
作者の意図する読み方ではないと思うけど、出てくる怪談がけっこう怖い。