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海賊の子 (ハヤカワ文庫SF)

海賊の子 (ハヤカワ文庫SF)

『海賊の子』カリン・ロワチー〈ハヤカワSF1729〉
『戦いの子』*1『艦長の子』*2につづく戦争SF3部作完結篇。

海賊ファルコンの後継者だったユーリは、捕らえられ、地球の極寒の刑務所に収容されていた。だが、情報局から「海賊組織の壊滅に協力すれば自由にする」という申し出を受け、再び海賊船へ戻るが……

三部作なんだけど、『戦いの子』のラストからさほど時間経過はなく、大局的な俯瞰がないのはシリーズを通して。ミリタリーSFではなく、ある少年が、異星人側についた場合、地球人のセレブとして生まれた場合、海賊に育てられた場合、とある種のパラレルな物語して読むべき。戦争は、この三人の生い立ちを生み出すためだけの条件に過ぎないから、ミリものとしての印象が薄いのは当たり前。
とは言っても、それで面白くなるわけじゃないんだよなぁ。正直、三部作のラストでなければ読んでないよ。今思えば、『戦いの子』が一番よくできていたかな。三作通して言えることなんだけど、作者は少年のそれまでの生活に比重を大きく取っていて(それが描きたいんだろうし)、現在の描写がどうにも弱い。だから、トラウマ克服や現在の葛藤が薄くなっちゃう。前作でもそうだったんだけど、ユーリが海賊を裏切る理由がよくわからないんだよね。
あと、BL臭というか腐臭を楽しみ趣味はないんで……(笑)