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死者の軍隊の将軍 (東欧の想像力)

死者の軍隊の将軍 (東欧の想像力)

『死者の軍隊の将軍』イスマイル・カダレ〈松籟社 東欧の想像力5〉

第二次大戦から20年。アルバニアに葬られた兵士たちの遺骨を回収するために派遣されてきた某国の将軍と司祭。しかし、正確ではない埋葬地、悪い天候、そしてアルメニア人の冷たい視線が作業を遅らせる……

なんでもかんでも、マジックリアリズム(的)という書くと頭悪そうな感想になっちゃうけど、ここでは、すでに戦争は過去のものだと考えている占領側の将軍と、まだその影が落ちているアルバニア人との間にある齟齬(リアル)がマジックと化して回収作業を困難なものにする。
形は違えども、けっして過去とは決別できず、反目する両者。
婚礼の夜を経て、ついに意思疎通がなされるものの、それは今もなお憎悪が拭いがたいという理解であり、それを認識した将軍の周囲はどこか現実から遊離していく。


印象的だったのは雨。
『あまりにも騒がしい孤独』*1もそうだったんだけど、ぬかるみがひじょうに冷たく、死そのものをイメージさせるんだよね。
東欧の方は、水はネガティブなイメージの方が強いのかな?


正直、楽しむ素養がありませんでした。
もう少しで見えてくる気もするんだけど……


次回配本はヨゼフ・シュクヴォレツキー