BEGGARS BANQUET
現代短篇の名手たち2 貧者の晩餐会 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
- 作者: イアン・ランキン,延原泰子・他
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2009/07/30
- メディア: 文庫
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現代短篇の名手たち2冊目。
ポケミスからの文庫落ちなんだけど、2作カット。
トールサイズになったんだから、字を小さくして収録してよ。
収録作品
- 「一人遊び」Trip Trap
- 「誰かがエディーに会いにきた」Someone Got to Eddie
- 「深い穴」A Deep Hole
- 「自然淘汰」Natural Selection
- 「音楽との対決」Facing the Music
- 「会計の原則」Principles of Accounts
- 「唯一ほんもののコメディアン」The Only True Comedian
- 「動いているハーバート」Herbert in Motion
- 「グリマー」Glimmer
- 「恋と博打」Unlucky in Love, Unlucky at Cards
- 「不快なビデオ」Video, Nasty
- 「聴取者参加番組」Talk Show
- 「キャッスル・デンジャラス」Castle Dangerous
- 「広い視点」The Wider Scheme
- 「イン・ザ・フレイム」In the Frame
- 「自白」The Confession
- 「吊るされた男」The Hanged Man
- 「機会の窓辺」Window of Opportunity
- 「サンタクロースなんていない」No Sanity Clause
なんと言うか、けっして悪い意味ではなく、普通の推理小説短篇集。こういうミステリは、個人的にはわざわざ読まなくてもいいかなぁ。
半分がリーバス警部もの。彼だけが見えていて(読者には何も見えない)、それを後から説明するというスタイルにどうも乗れなかった。それが明かされる展開を楽しむ向きはわかるんだけど、今回はどうもそればかりが気になっちゃって。まぁ、ちょっとコロンボ風味で面白かったんだけど、長篇は全く雰囲気が違うとか。
お気に入りは、
・「一人遊び」
長年性格の悪い夫を献身的に世話してきた妻。
ある日、彼が階段から落ちて死亡する。
リーバスは妻が解いたクロスワードからあることに気づき……
トップバッターと言うことで大変楽しんだんだけど、
文章には何も示されておらず、リーバスにしか証拠が見えていないというスタイルが他の短篇でも続き、どうもイマイチ好きになれない。
・「深い穴」
工事現場で働く男。
金貸しの男から死体の処理を頼まれるが、
埋める予定だった穴は既にコンクリが流し込まれ……
・「唯一ほんもののコメディアン」
才能はあるのに、なかなかメジャーになれないコメディアン。
今では暗黒街のボスになった幼馴染みから借りている金も返せない。
彼らをまいて、恋人と共に逃げようとするが……
小咄系好きとしてはこれが一番好み。
・「動いているハーバート」
美術館のバックヤードにある作品をこっそり贋作とすり替えて売っている学芸員。
しかし、そのすり替えた作品が首相開催のパーティに貸し出すことになってしまい……
贋作にも感動しちゃう程度の目なのか、
感動させるほどの贋作なのか、
それとも、感動したからこそあれは実は真作だったのか、
ちゃんと読み取れてません……
・「サンタクロースなんていない」
出所したばかりで仕事のない男。
クリスマスシーズンになり、彼はあるアイデアを思いつく。
リーバスもの。
これは他とちょっと毛色が違ってよかったかな。
リーバス独自の正義もいい感じ。
それにしても、このシリーズ、表紙がなんか気持ち悪い(笑)