Sometimes They Bite

『おかしなことを聞くね』ローレンス・ブロック〈ハヤカワHMフ10-4〉
ブロックの第一短篇集

 収録作品

  • 「食いついた魚」 Sometimes They Bite
  • 「成功報酬」 The Ehrengraf Method
  • ハンドボール・コートの他人」 Strangers on a Handball Court
  • 「道端の野良犬のように」 Like a Dog in the Street
  • 「泥棒の不運な夜」 Gentlemen's Agreement
  • 「我々は強盗である」 Nothing Short of Highway Robbery
  • 「一語一千ドル」 One Thousand Dollars a Word
  • 「動物収容所にて」 The Gentle Way
  • 「詩人と弁護士」 The Ehrengraf Obligation
  • 「あいつが死んだら」 When This Man Dies
  • 「アッカーマン狩り」 Collecting Ackermans
  • 「保険殺人の相談」 The Dettweiler Solution
  • 「おかしなことを聞くね」 A Pair of Recycled Jeans
  • 「夜の泥棒のように」 Like a Thief in the Night
  • 「無意味なことでも」 Going Through the Motions
  • 「クレイジー・ビジネス」 This Crazy Business of Ours
  • 「死への帰還」 Like After Life
  • 「窓から外へ」 Out the Window

ブロック短篇をまとめて読むのは初めてなんだけど、これはかなり好みかも。ブラックで、小咄系と言われたら、直球ですよ。他の短篇集もいってみるかなぁ。
オチは読めちゃうのも少なくないんだけど、それでもラストでニヤリとさせられるのは、上手いんだろうなぁ。


お気に入りは、
・「成功報酬」 The Ehrengraf Method
 エイレングラフは失敗の場合は1セントとして受け取らない、成功報酬の弁護士。
 そんな彼に、息子の弁護依頼をしてきた夫人。
 殺人で起訴され、彼の犯行は揺るぎないように見えるのだが……
 超悪徳弁護士でありながら、依頼人の「正義」は絶対に保証するエイレングラフ。
 手段を選ばない弁護と依頼人を凹ますオチがたまらない。


・「ハンドボール・コートの他人」 Strangers on a Handball Court
 ハンドボールで意気投合した二人。
 お互い、邪魔な妻がいるとわかり、交換殺人を計画するが……


・「泥棒の不運な夜」 Gentlemen's Agreement
 忍び込んだ屋敷の住人に見つかってしまった泥棒。
 彼とチェスを指すことになり……


・「動物収容所にて」 The Gentle Way
 心優しい動物収容所の職員。
 そこには、時折動物を殺しい来る少年が忍び込んでいた。
 そんな彼らを懲らしめる方法は?
 これは完全にホラー。この短篇集でもベストの1作。


・「詩人と弁護士」 The Ehrengraf Obligation
 エイレングラフのもとにやってきたのは、殺人で逮捕された詩人。
 詩を愛するエイレングラフは喜んで引き受けるが、
 釈放された依頼人は詩が書けなくなっていて……
 エイレングラフものは大変お気に入り。まとまってたりしないの?


・「あいつが死んだら」 When This Man Dies
 金に困っている男の元に届いた手紙。
 そこに書かれている人物が死んだら金が手に入るという。
 全く覚えがないのだが、実際に死ぬと金が送られてきた。
 しばらくして再び手紙が……


・「おかしなことを聞くね」 A Pair of Recycled Jeans
 古着のジーンズの供給源が気になる男。
 買うのはいいが、それを手放すのはどんな人間なのだろう?
 それをいつも話のネタにしていたのだが、ついにそれを知っている人物に……
 この中でも短い作品なんだけど、書かれていることと書かれていないことから覗き見える闇が素晴らしい。
 都市伝説系ホラーとしても傑作。