THE BRAINS OF RATS
- 作者: マイケルブラムライン,Michael Blumlein,山形浩生
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 1994/04
- メディア: 単行本
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- 「ラットの脳」 The Brains of Rats
- 「器官切除と変異体再生 -症例報告」 Tissue Ablation and Variant Regeneration: A Case Report
- 「ドミノ・マスター」 The Domino Master
- 「溺れてしまえ」 Drown Yourself
- 「CWとのインタビュー」 Interview with C.W.
- 「男の恩寵を捨てて」 The Glitter and the Glamour
- 「家事」 Keeping House
- 「華麗なる魅惑」 Shed His Grace
- 「暖かさの約束」 The Promise of Warmth
- 「ウェット・スーツ」 The Wet Suit
- 「そのもの」The Thing Itself
小説としては趣味のタイプではなかったんだけど、本当に切れ味鋭いという表現どおりの描写は一読の価値あり。
表題作と「男の恩寵を捨てて」、「そのもの」は人間が切り刻まれていく様を描いているんだけど、冷たいメスが肉体を開いていくような読書感は他にはない。それは、人体破壊ではなく、感情が入りこまない病理的解剖に他ならない。その描写そのものは怜悧で、グロテスクさはないんだけど、それを作り出している周りの状況は悪趣味の極み。
他の作品はダークファンタジー、ホラーとしてよくできていると思うんだけど(「ドミノ・マスター」と「家事」はかなりいい)、この作者で読まなくてもいいかも、と言う感想。