GIVE ME MY FATHER'S BODY

父さんのからだを返して―父親を骨格標本にされたエスキモーの少年

父さんのからだを返して―父親を骨格標本にされたエスキモーの少年

『父さんのからだを返して』ケン・ハーパー〈早川書房

19世紀末、北極点を目指すピアリーは、生きる展示品として6人のエスキモーをアメリカに連れ帰る。しかし、彼らは肺結核を患い、1人は帰国するが、幼いミニックを残して死んでしまう。博物館職員のウォレスの養子となって、幸せに暮らすが、ある日、葬儀をしたはずの父の骨格標本が博物館に展示されていることを知り……

文字通り数奇な、そして、あまりに哀れな物語。
当時の学者は、当時の常識で動いて、彼らなりに知の探求と幸せを目指していたわけで、現在の目線で断じるのは難しいけど、全く責任をとらず、6人のことを忘れようとするピアリーと博物館側の対応はひどいよなぁ。
まさに時代とエゴに翻弄されたミニック。
いくら言っても骨や遺品返してもらえず、故郷に帰る方法もなかなか見つからない。
やっと故郷に戻れても、言葉忘れており、必死に文化を吸収していくが、彼はアメリカを恋しがるようになる。
エスキモーにも白人にもなれず、常にアイデンティティを探し続ける青年。彼が最後に辿り着いた安息の地は……